目を保護する成分を野菜から補給
「緑の抗がん野菜」と呼ばれる緑黄色野菜
ブロッコリーはアブラナ科の野菜で、カリフラワーを品質改良した野菜です。原産地はイタリアを中心にした地中海沿岸地域で、「食用花頭」としてトルコ、イランなどの中東から世界中に広まりました。日本へは明治初期に渡来し、観賞用から食用として普及したのは昭和50年代頃。健康への関心が高まり、ブロッコリーの高い栄養価が注目されました。ブロッコリーを一躍有名にしたのが、これに含まれている「イトケミカル・スルフォラファン」という化学物質です。がん予防研究において世界的な権威であるポール・タラレー博士が、1990年代にブロッコリーに含まれている「スルフォラファン」が腫瘍形成を抑制するのを発見。「がん予防効果が期待できる食品群」にブロッコリーも含まれています。胃潰瘍の原因とされるピロリ菌を抑制する働きも優れ、また、老化を予防する抗酸化作用が長く続くことでも知られています。
ブロッコリーにはβカロテンやビタミンE、ビタミンCなどの活性酸素を除去する働きがとても強いです。βカロテンやビタミンE、ビタミンCなどは、血中の脂質の酸化作用を防ぎ、血管を若々しく保つ働きがあり、酸化した脂肪を分解することで、血液の流れを良くして、血圧を下げたり、血管を丈夫にする働きがあります。この様な働きから動脈硬化予防や、糖尿病の予防改善に効果的です。
このようにブロッコリーは、大変栄養的にすぐれた野菜で、さらにビタミンCは100グラム中に120㎎と豊富に含まれ、レモンの2倍にあたります。成人が1日の摂取するビタミンCを、ブロッコリー4分の1株約50gで補うことができるのです。
目に優しいβカロテンの効果
ブロッコリーの成分で、とくに注目したいのがβ(ベータ)カロテンです。βカロテンは、体内で必要な分だけビタミンAに変換されます。ビタミンAは、目の働きをサポートするために欠かせない成分なのです。私たちはよく、「目で見る」という表現をしますが、実際に見ているのは目ではなく脳です。
目の網膜にはロドプシンという物質があるのですが、このロドプシンが光に当たって分解されると、その刺激が脳に伝わって「見えた」と感じる仕組みになっています。
ロドプシンは、ビタミンAを材料にしてつくられるため、ビタミンAが不足すると快適な視力を維持することができません。また、網膜に不要な老廃物がたまって炎症の原因になります。
ブロッコリーは、βカロテンがたっぷり。βカロテンは、目の粘膜や網膜を正常な状態に維持したり、涙の量を一定に保つ働きがあるといわれているのです。
また、ブロッコリーには、パソコンやスマートフォンの画面から発せられる強く明るい光=ブルーライトから目の網膜を守るルテインも含まれています。ルテインは、カロテンの一種です。ルテインが不足すると視力低下や黄斑変性になりやすくなります。
パソコンやスマートフォンの画面を見つめる時間が長い人、手元の細かい文字を読んだり、手芸などで目を酷使する人は、ブロッコリーをしっかり食べて目の健康を守りましょう。
水晶体を老化から守るビタミンC
次に注目したいのがビタミンCで、水晶体の酸化を防ぐの効果的なのです。
白内障は、目の水晶体が白く濁ることが原因で起こりますが、それは老化の影響で水晶体が酸化されるためです。たんぱく質が変色して水晶体が硬くなって濁ってしまうのです。透明度だけでなく、弾力性も失われてピント調節にうまく対応できず、物が見えにくくなります。
一度濁ってしまった水晶体は、元に戻すことはできませんが、酸化を抑えることで進行を遅らせることはできます。そこで、ビタミンCの摂取がおすすめなのです。
ビタミンCは抗酸化ビタミンと呼ばれ、活性酸素の害から細胞を守る働きがあります。また、ビタミンCにはコラーゲンを合成する働きも。コラーゲンは血管や皮膚、粘膜の強化に役立つため、目の粘膜を健康に保つためにも有効なのです。
ビタミンC必要摂取量目安 1日100mg
ビタミンCを多く含む食べ物 | ビタミンCの含有量 |
ブロッコリー | 1/3株70g=84mg |
赤ピーマン | 1個30g=51mg(黄ピーマン1個30g=45mg) |
芽キャベツ | 1個15g=24mg |
レモン(果汁) | 1個分30ml=15mg |
ゆず(果汁) | 1個分25ml=10mg |
すだち(果汁) | 1個分10ml=4mg |
ブロッコリーの成分表
どんな食材とも合わせやすい味と、鮮やかなグリーンが魅力
ブロッコリーは冬から春先(11月~3月頃)が旬の冬野菜です。つぼみが小さく縮まって、中央が少しこんもりした形の、緑の濃いものを選ぶと、柔らかく甘味があります。
ブロッコリーをゆでるときは、ビタミンCを失わせないために、短時間でゆで上げることがポイントです。ゆであがったら水にさらさないで、ざるで冷ますようにします。水にさらすと蕾の部分は水を吸収しやすいので、水っぽくなり香りもなくなります。
また電子レンジで短時間チンをすると、栄養素が失われないで済みます。余り加熱しすぎると、ビタミンCも壊れますし、食感も悪くなります。
レンジ蒸し用でチンすると、ビタミンCもあまり壊れません。温野菜サラダをづくりでも、レンジ調理が便利で、栄養素もあまり逃げません。
※ビタミンCは、水溶性ビタミンなので、体内に長く止めておくことができません。ですから、ビタミンCをとるときは一度に大量摂取するより、こまめに摂るほうがよいでしょう。