まぶたのたるみの原因、眼瞼下垂(がんけんかすい)とは

視力回復

まぶたのたるみの原因、眼瞼下垂(がんけんかすい)とは

    コンタクト使用は、まぶたのたるみのリスクを高める!?

    眼瞼下垂の症状イラスト

    高齢者というほどの年齢ではないのに

    • 「上まぶたが瞳の上にかかって目元がすっきりしない」
    • 「目元がなんとなく年寄りじみてきた」

    そういうあなたは、コンタクトレンズ(CL)のロングユーザーでは?

    CLを長年使用していると、上まぶたが下がるリスクが高くなるのです。このまぶたが下がる状態を、眼瞼下垂(がんけんかすい)と呼びます。

    眼瞼下垂は、年をとってまぶたの筋肉が衰え、たるみというかたちで現れることが一般的でした。そのため多くの方は、この眼瞼下垂を老化によるものと考えていますが、CLによる慢性炎症のため、最近では20代の若い人にも起こってきているのです。目がぱっちりと開かなくなってしまうため、美容面で気にする女性が多くなっているのです。

    しかも、「まぶたの下がり」は見かけの問題にとどまりません。実は、開かないまぶたを無理やり開けようとして、無意識のうちに身体の各部の緊張を引き起こしてしまうのです。そして、自覚はなくとも自律神経が高ぶりやすくなります。

    自律神経が緊張すると、なんとなく疲れたり、イライラしたり、身体が冷えやすくなるなど全身の不具合にもつながります。

    • 「どうも頭が重い」
    • 「視力が安定しない」
    • 「目が重い」

    などの症状は、実は体調の不良ではなくまぶたに問題があったということもすくなくありません。

    まぶたの基本構造

    まぶたの開閉は、まぶたの下縁にある瞼板(けんばん)という組織を、眼瞼挙筋(がんけんきょきん)とミューラー筋、2つの筋肉が収縮することで引き上げて開きます。眼瞼挙筋の力が弱かったり、眼瞼挙筋と瞼板との結合がゆるんでいる(伸びている)と瞼板をうまく引き上げることができません。これを眼瞼下垂と呼びます。前者の場合は筋肉そのものに問題があることが多くほとんどの場合先天的な異常であり、先天性眼瞼下垂と呼ばれ、後者の場合は長期にわたるコンタクト使用の方に多く、後天性眼瞼下垂とも呼ばれます。

     

    ハードCL使用者の眼瞼下垂のリスクは、約100倍!

    もにたーとなった双子

    双生児の写真を収集し、一卵性双生児の眼瞼下垂の程度を比較。

     

    本当に、CLの長期使用で眼瞼下垂になるのでしょうか?

    眼瞼下垂の診断基準は、日本国内では一つに定まっていません。例えば、黒目の中心(瞳孔中心)から上のまぶたの縁(上眼瞼縁:じょうがんけんえん)までの距離が3.5ミリメートル未満となった状態、という基準を用いる医師もいます。

    実は、ハードCL長期使用者の眼瞼下垂のリスクは、非使用者のおおよそ20倍から100倍になることを示した研究結果があります。ソフトCLについても、リスクの上昇が報告されています。

    まず、日本で眼瞼下垂が広く知られるきっかけになったのは、NHKの「ガッテン!」ではないでしょうか。同番組では、2008年4月2日と2016年5月25日の2回にわたって眼瞼下垂を紹介しています。2回目の放送では、まぶたをたるませる生活習慣として、花粉症・アレルギー・メーク落としなどでまぶたを強くこすることと、ハードCLの長期着用を挙げていました。

    米国では、2015年6月5日に米国版Yahoo!Beautyが、CLの使用が眼瞼下垂のリスクを高めることを示した研究の結果を取り上げ、CLユーザーの間に不安が広がりました。Yahoo!Beautyが紹介した論文は、2015年3月24日に「Aesthetic Surgery Journal」誌に発表されたものです。この研究の目的は、後天性の重症度の眼瞼下垂が及ぼす影響・要因を明らかにすることにありました。研究者たちは、2008~2010年に双生児の写真を収集し、一卵性双生児の眼瞼下垂の程度を比較しました。研究対象に一卵性双生児を選んだのは、遺伝的な背景を考慮する必要がなくなるからでした。

    研究者らは、96組の双子(192人)、48人の男性44人、148人の女性の写真を検査し、それぞれの上眼瞼のレベルを測定したのです。

    結果は、双生児2人のBMI(体格指数)や喫煙習慣、日焼けの程度、飲酒習慣、仕事でのストレスの程度、睡眠習慣などの違いは眼瞼下垂の程度とは無関係でした。そして、眼瞼下垂の要因として明らかになったのは、ハードCLとソフトCLの使用だったのです。

    CL利用者の目瞼下垂リスクを報告する論文はほかにもあります。

    比較的若い年齢のオランダの人々を対象に、2002年1月から2005年12月までに、片眼または両眼の眼瞼下垂と診断された18~50歳の患者35人を分析しています。分析の結果、CL非使用者と比較した眼瞼下垂のリスクは、ソフトCL使用者で14.7倍、ハードCL使用者ではなんと97.8倍になったのです。

    CL使用者が眼瞼下垂にならないための方法は?

    米国では、Yahoo! Healthのニュースを受けて、米オプトメトリック協会が、専門家の意見をまとめ、CL長期使用者が眼瞼下垂となる原因と、その対策を発表しました。

    その概要は、

    CL使用者が眼瞼下垂の原因として以下の2つが想定される

    (1)CLを外すときにまぶたを引っ張ると、まぶたの構造が徐々に伸びる、
    (2)ハードCLの縁(へり)または表面に刺激されて上まぶたに慢性的な弱い炎症が起こる。

    CL使用者が眼瞼下垂にならないための対策としては

    ハードCL使用者がとることができる対策の一つは、まぶたを引っ張る習慣をやめ、代わりにCL外し専用のスポイト状の器具を使用することだ。

    また、CLを購入する際には、縁の部分がなめらかで薄いものを選択し、清潔に使用することが大切と考えられる。

    ソフトCLと眼瞼下垂の関係を調べた研究は、ハードCLの場合より少ないが、眼瞼下垂を引き起こす可能性は示されている。ソフトCLの場合には、感染または炎症が関係すると考えられるため、目に十分にフィットする清浄なレンズを使用するとよい。1日使い捨てレンズが理想的な選択だろう。

    というものです。

    実は眼瞼下垂症を食い止められるのは、発症する前までです。発症してしまったら自然治癒はなく、進行を食い止める手立てがないのです。そう考えると、予防だがどれだけ大事かわかります。

    1日使い捨てソフトCLであっても、レンズを入れる際には、上まぶたには触れずに下まぶたのみを引っ張る、といった工夫は可能です。ハードレンズを外す際には、スポイトを使用するか、左右の指を上まぶたと下まぶたのまつ毛の生え際にそれぞれ当てて目を大きく開き、下まぶたを押さえた指を押し上げてまぶたでレンズをすくい出すようにして外す方法(CLショップでフィッティングをする人が使う方法)に慣れるとよい。もちろん、レンズの衛生状態、表面の傷の程度も関係すると考えられていますので、良い状態のCLを使用することが大切です。また、コンタクトレンズの使用も必要最低限にしたほうがよいでしょう。

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    まぶたのたるみの原因、眼瞼下垂(がんけんかすい)とは
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