視力回復のための基本的な知識が身につく。
視力低下、目の疲れの原因を考える。
◎生活環境が視力低下を招く
近視の原因を遺伝と考える人もいますが、しかし実際、その率は5%程度といわれます。では、ほかにどんな原因があるのでしょう。そう、それは環境的な要因です。子どもはもちろん大人にとっても、テレビ、コンピュータ、テレビゲーム、携帯電話、スマホなどは、現代の人々の生活に欠かせなくなっています。こういった、近くの画面を凝視する作業を長時間続けること、読書や勉強などの作業を長時間することが、目に悪い影響を与え、視力の低下、目の疲れを招いているのです。
◎ときどき遠くを見る習慣をつける
私たちの生活は、大人も子どもも、近くを見ることが非常に多くなっています。遠くを見る機会が少なくなることで、目がその環境に順応し、近視が増える原因にもなっているのです。近視が“環境病”といわれる所以です。
眼の構造にも関係があります。「ものを見る時の距離」と「目にかかる負担」は大きく関係し合っているのです。人間の目はよくカメラにたとえられますが、レンズにあたる水晶体の厚みを調節して、ものを認識しています。水晶体のまわりを囲む「毛様体」という筋肉が、伸びたり(緊張)縮んだり(弛緩)することで、水晶体の厚みを変え、ピントを調節しています。近くを見る作業を続けることで、毛様体が緊張し続け、目に負担をかけるのです。遠くを見ることは毛様体の緊張を解き、水晶体を薄くさせ、ピント調節機能が回復します。疲れている時、遠くを見ると目が休まるのはそのためです。現代人にとって遠くを見ることはとても大切です。
◎体を動かすことも目の健康に
いま、テレビやゲーム、携帯電話などの映像情報は、現代の生活とは切り離せません。観ること自体が悪いのではなく、問題は、その観方です。目に負担をかけないよう、上手なつきあい方をしていけばいいのです。また、テレビゲームで目が疲れたら、遠くを見て目を休めるなどの工夫をすること。遠くを見るだけでなく、子どもたちにとっては、屋外で思いっきり身体を動かすことも目にとっては大切です。野球、サッカー、バスケットボールなどのスポーツをすることが、動体視力を養うなど目のトレーニングにもなるのです。
◎一度、生活習慣を見直そう
超音波治療器「アイパワー」という良い機器があっても、目に負担をかける生活を続けていては、大きな効果も期待できませんし、使用を止めるとすぐリバウンドしてしまいます。
この機会に、目に負担をかけない生活習慣を考えてみませんか。
勉強する環境と、テレビやTVゲームとの上手なつきあい方
◎目に負担をかけない勉強法
- 椅子の高さは、膝と腰が直角になるように腰掛けたとき、両足の裏全体が床面につくのが目安。
- 背筋をきちんと伸ばし、目と本などの間は30cmくらい離す。
- 勉強や読書を1時間したら、10分くらい目を休ませる。
- 寝た姿勢で本を読まない。
- 部屋の照明は明るくしすぎず、暗くしすぎない。
基本となる照明は、天井の明かりですが、蛍光灯は 10〜15W×畳数、白熱灯は30〜40W×畳数を目安として覚えておくと良いでしょう。
こういった、目に負担のかからない工夫をすればいいのです。
視力を落とさず、勉強に集中できる照明環境とは?
視力は小学生低学年でほぼ決まります。逆にいうと、この時期に視環境が悪いと、視力が簡単に落ちてしまうことになります。正しい光環境で視力低下の予防を心がけてあげましょう。勉強に集中できる視環境について、6つのポイントを紹介します。詳しくは画像をクリック!
◎目に負担をかけないテレビの見方
テレビやTVゲームのつきあい方も、同様の工夫が必要です。テレビを観せる場合は、
- 液晶テレビは画面の高さの約3倍の距離から見るのが理想。
- 照明の明るい部屋で観せる。
- 長時間見続けない。
1時間観たら10分〜15分間休み、CMの間は必ず遠くのも のを見るようにするなど、ルールを決めておきます。
観る時は正しい姿勢で。
きちんと腰掛けるか座るかして、正面から正視できる位置に「テレビの座」をつくりましょう。背筋を伸ばした姿勢で観ましょう。寝転がってみるのはNG。
◎家族でルールをつくって遊ばせる
基本的にはテレビと同じですが、最低1mは確保します。また、携帯型ゲーム機や、携帯電話・スマートフォンなどの小さい画面のものは、30cmの距離を保ちたい。
楽しむ時間は、1日1時間程度にするのが理想です。30分以上続けたら、5分間は遠くの景色を見るなどして、目を休ませることに気を配りましょう。
※液晶テレビの最適な視聴距離のめやすは、「画面の高さの約3倍」
例えば、52V型の液晶テレビの場合、最適な視聴距離は約1.9m(画面の高さ、約65cmの約3倍)となります。従来のブラウン管テレビの視聴距離は、画面の高さの約5~7倍の距離が必要でしたが、液晶テレビでは、高精細な映像のため、近くで視聴してもよく、ブラウン管より短い視聴距離でも、充分です。
目の疲れをとる方法…休む
◎目の周りの筋肉にハリやコリが発生
テレビなどの映像を見続けることで、これら4つの筋肉には常に力が入り続けます。
目の周りの筋肉も、他の身体の筋肉と同様に、力が入り続ければ血行が悪くなり、ハリやコリが発生します。目の周りの筋肉にハリやコリが発生している時に、目が疲れたと感じます。
「目がしょぼしょぼする」「目が重たい」「目の奥が痛む」「目がかすむ」これらは、すべて疲れ目のサインです。こうした目の疲れをとるには、目の周りの筋肉の血行を良くして、ほぐしてあげることが必要です。
この方法は3つです。
❶休む
❷遠くを見る
❸ほぐす
◎睡眠が目の疲れをいやす
最近、大人はもちろん、子どもの就寝時間が遅くなり、睡眠時間が少ないことが問題になっています。
睡眠不足は体内の血行不良をまねき、その日の疲れを十分にとることができません。毛様体筋をはじめとする目のまわりの筋肉の緊張をほぐさないまま、翌日、また目を酷使するといった悪循環に陥ると、視力低下をまねくことになるのです。十分な睡眠時間を確保することが、近視の予防にもなります。
ゆっくりと入浴することも、目の疲れをいやすために効果的です。血行がよくなることで目の緊張もほぐれますし、お湯の持つ浮力の効果で全身の筋肉の緊張がとけ、高ぶっていた神経も安らぎます。
◎目の遠近トレーニング
だからこそ、勉強やゲーム、あるいは仕事などで目を休ませるときは、遠くを見ることをおすすめしています。このとき、何か目標を決め、じっとその目標物を見てください。目標を定めることには理由があります。人の目は、ぼんやりと見ている時は、自動的に1mくらい先に焦点を合わせてしまうためです。できるだけ遠いもの、場所に目標をつくり、そこを凝視するといいでしょう。
さらに一歩進めて、目の遠近トレーニングを行うと効果的です。何十メートルか先の1点に目標物を定め、腕をのばして50cmほどのところに親指を立てます。親指の爪を1分見たら、遠方の目標物を2分見る、というように近くと遠くを見ることを3、4度繰り返すことで、目の筋肉は柔らかくなります。
目の疲れをとる方法…ツボ・マッサージ
目の疲れやかすみに効果的なツボ
◎目の疲れにツボ・マッサージ
眼球周辺のツボ・マッサージや目の体操などによって、人為的に血行を促したり筋肉疲労をときほぐすことができます。現在、ツボ・マッサージや目の体操は、視力低下に役立つとして、小学校でも採用しているところがあります。
ここでは2つのツボ「晴明」「太陽」を紹介しています。ツボの位置がわかりにくい時は、周辺をマッサージするだけでも効果的です。勉強・仕事の合間、ちょっと目が疲れたなと感じたらやってみましょう。
▶︎眼精疲労解消のツボマッサージのやり方はこちら
目の疲れをとる方法…目の体操
目が疲れているとき、緊張しているときはまばたきの回数も減っているので、意識してまばたきをすること。
◎まばたきの回数で、目の健康判断
まばたきは、目が健康であるかどうかを見分ける大切なポイントになるのです。
正常な目は自然にまばたきをしていますが、疲れているとき、緊張しているときの目は、まばたきの回数が減っているか、まったくまばたきをしていないのどちらかです。
テレビやゲームをしているとき、まばたしをしていない自分に気がついたら、目は確実に悪くなっています。逆も真なりで、疲れたときには意識してまばたきをするといいということになります。
まばたきにはさまざまな効能があります。目の乾燥を潤いで防いでくれることはもちろん、瞳孔を動かす筋肉、まぶたを動かす筋肉の緊張をほぐしてくれるのもまばたきです。運動すると血液の循環がよくなって健康を保てるように、まばたきという目の運動で、目は強く健康になっていくのです。
▶︎「“涙”の秘密を知ることが、目の健康につながる」詳しくはこちらをクリック
◎運動不足の眼球をグルグル動かす。
球をグルグル回すと目の緊張がほぐれる。
「まばたき」同様、目の体操として、積極的にやっていただきたいのが「眼球体操」です。眼球体操はツボ・マッサージと同じように小学校でもこおなわれています。
「眼球体操」は眼球のまわりを取り巻いている「外眼筋」の緊張を解くものです。外眼筋とは、眼球を上下左右、あらゆる方向に動かし、回転させる筋肉。片目で6本、左右の目で計12本あります。
外眼筋を意識的に動かすことで、目の血行がよくり、疲れにくくなるなど目の健康に役立ちます。やり方は簡単です。かたくまぶたを閉じておきます。パッと開いたら、絶対に顔を動かさず、視線だけを動かします。
❶右→左、左→右、上→下、下→上へ動かす。これを1セットとして2〜3回繰り返す。
❷視線を右→下→左→上へと時計回りに動かす。これを2周させる。
❸視線を左→下→右→上へと逆時計回りに動かす。これを2周させる。
一度やってみてはいかがでしよう。
子どもを外で遊ばせることが近視の予防になる!
あなたの子ども、屋外で遊ばせて近視になることを防ごう。
太陽光には「光のビタミン」バイオレットライトが含まれていた。
外で過ごす時間が長い子どもほど近視になりにく」というデータがあることをごぞんじですか?
オーストラリアのシドニーとシンガポールに住む中華系の6歳と7歳の子どもたちを比較したところ、親の近視の割合はほぼ同じ(少なくとも父親か母親の約70%が近視)だったにもかかわらず、子どもの近視の割合はシンガポール(29.1%)のほうがシドニー(3.3%)よりも8倍以上多いことがわかりました。シドニーの子どもたちは1週間に平均14時間外で過ごしていましたが、シンガポールの子どもたちは1週間に平均3時間しか過ごしていませんでした。
こうした、屋外活動が子どもの近視進行をおさえることは、世界のさまざまな研究チームにより報告されてきました。ところが、屋外活動の何が近視進行抑制に効いているのかは分かりませんでした。そんな中、2016年12月、慶應義塾大学医学部の研究チームが、太陽光に含まれる「バイオレットライト」が近視の進行をおさえる可能性があることを、世界で初めて発表したのです。この研究結果は、医学雑誌『EBioMedicine』の2017年2月号に掲載。「近視の発症や進行のメカニズム解明、ならびに新しい予防法・治療へ向けた画期的発見」として話題になったのです。