すぐにできる目の疲労を防ぐ環境とは?
机や椅子の高さ、照明を変えれば、目の疲れが改善する!?
長時間のパソコン作業は、目が疲れます。近くを見続けるためにピントが固定され、水晶体の厚みを調節する毛様体筋の緊張が続くためです。
パソコンから視線を遠くへ移した時、ピントが合うまでに時間がかかり、視界がぼやけてかすんだりします。
目の次に、よくあるのが首の後ろから肩にかけてのコリ。続いて背中、腰と引っ張られて腰痛へ。症状が悪化すると気分が悪くなったたり、吐き気をもよおすことも。こうした異常のことを、眼精疲労、あるいはVDT症候群といいます。
最近は、「VDT症候群」という言葉をほとんど聞かなくなりましたが、問題が解消されたわけではなく、慢性化して、マスコミでは取りあげても話題にならないため、と思われます。
この現代病を、座る姿勢やモニター画面の角度、さらには室内の照明などを工夫することで軽減できます。ぜひ、以下のポイントを参考に、パソコンの作業環境を見直してみませんか。
①パソコン画面と室内照明の明るさの差をなくす!
パソコン画面と室内の明るさの差がある環境は、作業に適しません。目の負担がかかり、疲れやすくなります。
目安としては、画面と室内の明るさの差を3分の1以内に抑えること。画面をパッと見た時、画面の明るさが目立つならNGです。部屋のほうを明るくするか、ディススプレイの明るさ(色温度と輝度)を下げましょう。また、キーポードや手元の資料にも光を届けるために、スタンド照明も用意しておき、できるだけ明るさの差がない作業環境を作るのがベストです。
②パソコン画面に太陽光や照明の照り返しがないか注意!
窓からの日差しが強い場合などは、まぶしさでディスプレイが見えにくくなってしまうことがあります。ディスプレイに照り返しがあれば、これも眼精疲労の原因に。
眩しさを感じた瞳は小さくなり、その結果、ピントがあいにくくなり、目の筋肉を酷使するので眼精疲労につながるのです。ディスプレイの位置や角度、座る位置をずらして、画面に映り込む光をなくす工夫をしましょう。
③画面と目の距離は40cm以上離すこと!
画面と目の距離を、大人は40cm以上、子どもは50cm以上離しましょう。この距離で見えなくなるのなら、ピントが合う、パソコン作業用のメガネを作ることをおすすめします。
④ディスプレイの高さは、目線より下にくるように!
画面の位置が高いとまぶたが大きく広がり、目が乾きやすくなります。
ディスプレイの位置は、ディスプレイの上端が目の位置より下になるように高さを調節し、視線がやや下向き(水平面から10~15度程度下方)になるようにしましょう。
⑤机、椅子の高さで、疲労の度合いが違ってくる。
机は高すぎても低すぎても、腕や肩、首に負担がかかります。机や椅子の選び方や組み合わせで、疲労の度合いがずいぶん違ってくるのです。
机は、肘を90度に曲げてキーボードに自然に手が届く高さが疲労を軽減する理想的な高さです。肘が宙に浮いていると、上半身に負担がかかり疲労感が生じがちになります。
椅子の高さは、深く腰掛けて、膝が90度で足裏全体が床に着くのが目安です。また、椅子と大腿部との間に、手指が押し入る程度のゆとりをもたせます。
まばたきを意識的にする、目線をパソコンから外す、これを習慣化することが眼精疲労対策に。
●ドライアイ対策
「目がすぐ乾く」と、目薬がパソコン操作の必需品になっていませんか?
ドライアイは、目を保護するのに欠かせない涙の量が不足したり、涙の質のバランスが崩れることで目に涙が均等に行き渡らなくなり、目の表面に傷が生じるなどの異常が起こる病気です。
そこで注目したいのが「まばたき」です。
まばたきは、目の表面に涙を均等に行き渡らせたりする働きを担っています。アメリカ眼科学会によると、人間は平均60秒に15回まばたきをするそうです。パソコン作業では、まばたきの回数が通常の約3分の1に減るので、目が乾燥しがちになるのです。
意識的にまばたきをしましょう。ギュツと目に力を入れてまばたきを繰り返せば、涙腺の刺激に有効です。
●毛様体筋のコリを防ぐ
パソコン操作では目が疲れます。前述した通り、近くを見続けることで、毛様体筋の緊張が続くためです。そこで、オススメしたい超簡単な方法があります。アメリカなど英語圏を中心に浸透している「20-20-20のルール」です。
この「20-20-20のルール」は、パソコンの画面を20分見たら、20秒間20フィート(6メートル)以上離れたものを見て休憩する、というもの。20秒の休憩中に室内を見渡したり、窓の外を見ましょう。
これ以外に「10分に1回1秒だけチラッと遠くを見る」という方法もあります。
見る場所は、ピントが合うギリギリのところ。遠すぎてピントが合わないところを見るのではなく、目線のちょっと先の時計や棚などを「10分間に1回チラッと見る」。これにより、水晶体の厚さを変えることになり、疲れを抑えられます。