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健康リスクを回避する、肉食のススメ

高齢者こそ「肉食」がオススメ。

健康リスクを回避する肉食のススメ

「元気で長生き」のカギは「肉食」に!

高齢者こそ「肉食」がオススメ。というと、「そんなバカな」といわれそうです。中高年にとって、肉を食べるのは肥満の原因といわれてきました。ところが、食が細くなりがちな高齢者は意識して肉を食べるようにした方がよいそうなのです。転倒による骨折や貧血などを防げる、老化を遅らせる効果も期待できるなど、「元気で長生き」のカギは「肉食」にありそうです。

年を取ったから脂っこいものはやめて粗食に、は間違い?!

中高年にとって、肉のとりすぎはメタボリック(内臓脂肪)症候群につながるという印象が強い。しかし、高齢者だと事情が変わります。

東京都健康長寿医療センター研究所(東京・板橋)が高齢者を8年間追跡調査したところ、体重を身長の2乗で割って出すBMI(体格指数)が20以下のやせている高齢者は早く亡くなる傾向にあったそうです。老化に伴って食が細くなるうえに、栄養の吸収効率が下がります。野菜ばかり食べていたら、栄養不足になってしまうからです。

とくにたんぱく質が不足すると、足腰の筋力が低下し、転倒しやすくなります。高齢者の弱った骨は折れる危険性も高く、寝たきりの原因になったりします。病原体などから身を守る免疫機能も低下しがちです。

人間の筋肉や内臓などを作るたんぱく質は20種類のアミノ酸からできています。トリプトファンやリジン、バリン、メチオニンなど9種類の「必須アミノ酸」は体内では合成できず、食事で補うしかないのです。肉は魚介類とともに必須アミノ酸をバランスよく含んでいます。一方、植物性食品は大豆を除いて含有量が少ないのです。

「肉は最も効率的に必須アミノ酸を体内に取り込める」と、日本獣医生命科学大学の西村敏英教授は強調しています。肉に含まれるアミノ酸は加熱調理しても壊れにくい。体内で吸収される効率も97%と高く、植物性の84%を上回っています。

貧血予防にも役立つのです。貧血は若い女性に多いと思われがちだが、高齢者でも10人に1人いるとされています。とくに多いのが鉄分が不足することで起こるタイプです。

鉄分が多い食品というとホウレンソウを思い浮かべる人が多いが、体内に吸収されにくい構造になっています。肉に含まれる鉄分は吸収効率が20〜30%と、植物性のものよりも2〜5倍高い。牛肉の赤身やレバーは鉄分を多く含んでいます。

脂肪に含まれるコレステロールも、適量なら血管を丈夫にし、脳卒中を防止する効果があるとの報告も出ています。

BMI体格指数

1日100gが目安

では、どれくらいの量を食べればよいのでしょうか。獣医生命大の西村教授は「1日に100グラムが目安となる。最低でも、朝食、昼食、夕食のどこかで食べるようにしてほしい」と話されます。

厚生労働省は大人が1日に摂取するたんぱく質の目安を男性60グラム、女性同50グラムに設定しています。肉100グラムだととりすぎのような気がしますが、たんぱく質の量はその2〜3割ほど。高齢者は吸収効率が落ちており、食べ過ぎは気にしなくてよいそうです。

高齢者はかむ力が落ちており、弾力のあるステーキやとんかつは食べにくい。そこで、ひき肉や薄く切った肉を使えば、加熱調理しても硬くなりにくく食べやすくなります。長く煮込めば軟らかくなるので、シチューなどのメニューを選ぶのも手です。肉の線維を包丁で細かく切ることも大切です。

「脂っぽさがいやだ」という人には、焼き鳥や焼き肉などの網焼き料理がお勧め。調理の過程で脂が落ちます。レモンやゆず、ポン酢などと一緒に食べるとさっぱりして食べやすくなります。

日本の高齢者は粗食になりがちです。「もう歳だからお肉は食べないほうが……」と思っていませんか。いえいえ、肉は元気に歳を重ねるための味方です。また、一人暮らしだと食事をつくるのが面倒で弁当などで済ますという人も多い。仲間が集まって一緒に食材の買い物や料理をすると、食が進みやすい。楽しく量を食べるために会食の機会を増やすことも大切です。

肉は、長寿の秘訣?

読売新聞の記事に「肉食のすすめ『常識』を覆す長寿の秘訣」という記事が掲載されました。東京都老人総合研究所の調査結果をまとめたものでしたが、高齢者になるほど「肉は不可欠」というその記事を書き出してみます。

………………………………

老研では1972年から73年にかけて、当時は全国にわずか405人(昨年9月1日時点では1万人を突破)しかいなかった百寿者(百歳を超えた高齢者)のうち百人を訪問調査した。その結果、百寿者の食べている総タンパク質の割合は、男女ともに60%近くあり、当時の日本人の平均値(48%)を大幅に上回っていた。

また老研では76年から、日本の中でも特に元気な高齢者が多い地域の一つ、東京都小金井市で当時70歳だった422人をその後、15年間追跡した。引き続き91年からは、65歳から84歳の八百余人を追跡調査している。

その結果、長寿と食事の関係を示唆するいくつかの所見が得られた。65歳から84歳までの人の20%は、ほとんど毎日肉を食べており、その1日摂取量は男女平均で45gだった。

これは東北地方の高齢者と比べるとかなり多い。東北地方は脳卒中の発生率が高く、その一因は動物性食品の摂取が少ないこととされている。ちなみに平均寿命が全国トップの沖縄県は、肉の摂取量が小金井市よりさらに多く、脳卒中発生率は国内最低だ。

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