今注目の機能性表示食品、アスタキサンチン。
アスタキサンチンの抗酸化力はビタミンCの6,000倍
業務中はパソコン作業、通勤時間や休憩中にはスマートフォン…。大人も子どもも、現代人は日々、目を酷使しています。こうした目への負担が避けられない中、「眼精疲労を軽減させる」食品成分として注目されているのがアスタキサンチンです。
アスタキサンチンは、海藻やサケ、エビ、カニ、イクラなどの魚介類に含まれる赤い色素。自然界に広く見られる色素であるカロテノイドの一種です。カロテノイドにはほかにもリコピン、ルテイン、βカロテンなど600種類以上が知られていて、強い抗酸化作用を持つています。その数あるカロテノイドの中でもアスタキサンチンの抗酸化力は非常に強いことで知られているのです。その抗酸化力はβカロテンの5倍、ビタミンEの1,000倍、ビタミンCの6,000倍に相当するといわれます。生物の中では、ヘマトコッカス藻が最も高濃度にアスタキサンチンを含み、アスタキサンチンの多くはヘマトコッカス藻から生成されています。
2015年4月に始まった機能性表示食品制度により、アスタキサンチンを含む食品では「目のピント調節機能をサポートする」「目の疲労を軽減する」などの機能を具体的に表示しています。
機能性表示食品取得のための試験では、例えば、1年以上6時間以上のVDT作業に従事し、日常的に目の疲れを訴える30歳以上45歳以下の人を二つのグループに分け、片方にはアスタキサンチンが含まれたサプリメントを、もう片方には成分が含まれていないプラセボ(偽薬:ぎやく)のサプリメントを摂取してもらい、試験前と4週間後の変化を見ています。摂取した参加者も試験を実施した担当者もそれがアスタキサンチン成分入りのサプリメントかプラセボのどちらかがわからないという二重盲検法により比較しています。その結果、アスタキサンチンが調節力や自覚的疲れ目に対し効果が見られたとして、「目のピント調節機能をサポートする」などという表示が可能なのです。この試験では、ヘマトコッカス藻由来のアスタキサチンを用い、1日6mg摂取するのが基本となっているようです。
「機能性表示食品」制度とは
機能性を表示することができる食品は、これまで国が個別に許可した特定保健用食品(トクホ)と国の規格基準に適合した栄養機能食品に限られていました。そこで、機能性を分かりやすく表示した商品の選択肢を増やし、消費者がそうした商品の正しい情報を得て選択できるよう、平成27年4月に、新しく「機能性表示食品」制度がはじまりました。国の定めるルールに基づき、事業者が食品の安全性と機能性に関する科学的根拠などの必要な事項を、販売前に消費者庁長官に届け出れば、機能性を表示することができるのです。生鮮食品を含め、すべての食品が対象となっています。
アスタキサンチンは、体のアンチエイジングにも働く
実際、眼精疲労の軽減にはどのように作用しているのでしょう。
アスタキサンチンは、強い抗酸化作用で目の新陳代謝を良好にし、血流を促す働きがあります。それにより目の疲労が軽減され、ピント調節機能もスムーズになります。VDT作業(パソコンなどの画面を見て行う仕事のこと)をする人だけでなく、老眼で目が疲れやすい人にも向いています。
では、抗酸化作用はどういったものでしょうか。
私たちは酸素を取り入れて、エネルギーをつくりますが、その過程で一部の酸素が酸化力の強い“活性酸素”に変化します。 この活性酸素が増え過ぎると、血管や細胞を傷つけ、体の内側を酸化(=サビる)させ、動脈硬化などを引き起こし、生活習慣病を招きます。 活性酸素の発生の要因は、喫煙、不規則な生活、多量飲酒、ストレス、食品添加物、タバコ、激しい運動、排ガス、電磁波、紫外線などがあげられます。この活性酸素を抑える働き、無害なものに変える働きが抗酸化作用(酸化を抑える作用)です。それだけに抗酸化作用の高い食品やサプリメントを取ると目だけでなく体の本来の機能を低下させないようサポートできるのです。
強力な抗酸化作用を発揮するアスタキサンチンは、「眼精疲労を軽減させる」以外に、
●生活習慣病の予防・改善
アスタキサンチンは、動脈硬化の原因になる悪玉コレステロールの酸化を抑えます。また生活習慣病を引き起こす体内の炎症成分や、血糖上昇を抑える働きも確認されています。
●内臓脂肪を減らす
アスタキサンチンを飲んだマウスは飲まないマウスに比べて内臓脂肪や皮下脂肪の蓄積が抑えられました。内臓脂肪は約27%、皮下脂肪は約39%も抑えられました。
●肌のアンチエイジングに
アスタキサンチンの強力な抗酸化力は、紫外線による肌の老化も防ぎます。サプリメントでとっても、肌に直接塗っても、この効果が得られると考えられています。
●体の疲労回復に
持久力を上げ、疲れにくくなります。これは、アスタキサンチンが筋肉の損傷の原因となる活性酸素を抑えるからです。
アスタキサンチンは、朝食時に摂るのがベスト!?
アスタキサンチンは体内で作ることができないので、食べ物で摂取する必要があります。アスタキサンチンを多く含んでいるのは、サケ、キンメダイ、エビ、カニ、イクラなどの赤色の魚介類。魚介類に含まれるのは、もともとはそれらの餌となる藻類に、大量に含まれるためです。1日の摂取量の目安は約6mgで、サケの切り身なら2~3切れ、エビでは10匹くらいに相当します。食品だけでとるのが難しい場合はサプリメントに頼ってもいいそうです。
なお、アスタキサンチンは「目を疲れにくくさせる」のではなく、「疲れから早く回復する」ことが主な効能です。朝、アスタキサンチンを多く含んだ食品を食べたり、サプリを飲んでおくと、会社へ出勤して仕事にとりかかるころから効き始め、眼精疲労の回復を早めます。『目が疲れた』と感じてからとるのでは遅いそうです。アスタキサンチンのサプリメントは、飲んでから約6時間以降、徐々に効果が高まってくるといわれており、それを念頭に活用すればベストな形で摂取できます。