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紫外線のリスクを避けた正しい日光浴法。

太陽光はデメリットもあるけど、メリットもいっぱい。

紫外線のリスクを避けた正しい日光浴法。

1年で紫外線が最も強い夏が近づいています。
紫外線は、シミやしわ、皮膚ガンの危険性を高めるなど、有害であるとの考え方が浸透し、太陽光をなるべく浴びないようにするという風潮が広まってきています。とくに女性にとっては敵のような存在です。
ところが、紫外線は体内でビタミンDを作り出すパワーがあるなど、私たちの身体や心に多くのメリットを与えてくれている、ということを知っていますか。今回は、紫外線のメリットに焦点をあてて詳しく紹介します。

《ページ目次》下の項目をクリックするとジャンプします。
1. 皆さんがよく知っている紫外線とビタミンDの関係。
2. ビタミンDが少ないと直腸がんのリスクが高くなる。
3. ビタミンDが不足すると骨がもろくなる。
4. アトピー性皮膚炎の症状緩和に効果がある日光浴。
5. 朝、日光を浴びることで夜は快眠できる。
6. 身体に必要なビタミンDをつくるのに、どれほどの太陽光(UV-B)を浴びればよいのか?
7. 窓ガラス越しに日光を浴びても、ビタミンDは作られない。

皆さんがよく知っている紫外線とビタミンDの関係。

ビタミンDは「サンシャインビタミン」と呼ばれたりする健康に欠かせない栄養素です。太陽光の紫外線は、私たちの体内に「ビタミンD」を作り出すパワーがあるからです。

日光浴などで紫外線のUV-Bが皮膚にあたると、皮膚のコレステロールがプレビタミンDに代わり、これが血液を通って肝臓にたどり着くと、カルシジオールという物質に変化し、さらに全身を巡るなかで活性型ビタミンDとなります。

日本でもかつてはビタミンDが豊富な魚介類の摂取や、積極的な日光浴により、ビタミンDは比較的充足していました。それが最近では、乳幼児・妊婦・若い女性・寝たきり高齢者を中心にビタミンD不足が指摘されています。

ビタミンDが不足すると、どうなるのでしょうか?

ビタミンDが少ないと直腸がんのリスクが高くなる。

紫外線のリスクを避けた正しい日光浴法。

がんのなかで日本人が最も多くかかっているのが「大腸がん」です。新たに大腸がんと診断される人は、1年間でなんと15万2,254人もいます(2018年データ)。「運動」は大腸がんのリスクを下げることが分かっています。

アメリカの国立癌研究所(NCI)によると、運動は大腸がん(とくに結腸がん)の危険度を平均40~50%減らすとされているのです。

そして、見逃せないのがビタミンDの効用です。アメリカの国立癌研究所で発表した内容によると、1万7,000人を研究対象に、ビタミンDの血中濃度の高い人は、低い人に比べて大腸がんの発症率が75%低いというのです。

また、保存血液を用いたいくつかの研究でも、ビタミンDによって大腸がん、とくに直腸がんや遠位結腸がんのリスクが下がる可能性を示す結果が報告されています。

ビタミンDが不足すると骨がもろくなる。

紫外線のリスクを避けた正しい日光浴法。

ビタミンDはカルシウムの吸収促進、骨の成長促進、血中カルシウム濃度を調節する重要な役割をもつ栄養素です。ビタミンDが不足すると、骨にミネラルを正常に沈着させることができなくなり、骨が正常に作り替えられなくなってしまいます。

とくに高齢者は骨粗しょう症などにつながるので注意が必要です。さらに、ビタミンDは筋肉を維持したり、免疫力を増強したりする働きがあることもわかっています。

厚生労働省の発表によると、2021年1月末時点で、日本の要介護(要支援)認定者数は679万人。高齢者になると、骨や筋肉の老化により骨折・転倒で寝たきりになるリスクが高くなるだけに、ビタミンDによる丈夫な体を維持していくためにも日光浴は欠かせないのです。

アトピー性皮膚炎の症状緩和に効果がある日光浴。

ビタミンDは、免疫機能を調整し、アレルギー症状を緩和する作用もあります。さらに、ビタミンDは精神のバランスを整える神経伝達物質セロトニンを調整します。

アトピー性皮膚炎などアレルギー症状はストレスによって悪化することが知られていて、ビタミンDは複合的な作用によってアトピー性皮膚炎の改善に役立つと考えられているのです。

朝、日光を浴びることで夜は快眠できる。

朝起きたら、まずはカーテンを開けること。日光を浴びることで体内時計がリセットされ、自然と身体が目覚めてきます。ただし、起床後4時間以内に日光を浴びないと体内時計はリセットできません。
朝、日光を浴びると、「睡眠ホルモン」とも呼ばれる「メラトニン」の分泌が抑制され、代わりに脳を覚醒させるホルモン「セロトニン」が分泌されます。

紫外線のリスクを避けた正しい日光浴法。
朝起きたら、窓を開けよう。

日中に分泌されたセロトニンは、起床後14~16時間経つとメラトニンに変わります。朝6時に起床した場合は20~22時に分泌され、その時間帯に自然と眠気がやってくるということです。つまり、朝日を浴びることでその日の夜は快眠できるということ。この場合に作用するのは紫外線ではなく、可視光線とされています。

身体に必要なビタミンDをつくるのに、どれほどの太陽光(UV-B)を浴びればよいのか?

紫外線のリスクを避けた正しい日光浴法。

若々しい肌を保ちたいし、骨の健康も保ちたい。しかし日焼けやシミ、皮膚がんの危険性も防ぎたい。その願いをかなえるためには、どれくらいの時間日光を浴びればよいのでしょうか?

厚生労働省の調査によると、食品からとるビタミンDの必要量の目安は5.5µg(マイクログラム)程度。それに対して、1日に必要なビタミンDの量は15µg以上とされています。足りない10µgのビタミンDは、太陽光を浴びて体内で生成する必要があるのです。

日光浴によって体内で生成するのに必要な日光照射時間は、夏は昼間の直射日光を避けて10~20分程度、冬は30分~1時間程度です。両手・顔を晴天日の太陽光に露出したと仮定した場合です。

顔と両手だけでなく、両腕、足などの部分に太陽光を当てると、照射面積は2倍になり、必要なビタミンD量に対する照射時間は半分になります。

紫外線のリスクを避けた正しい日光浴法。

ビタミンDの天然源には、卵黄、タラ肝油、脂肪の多い魚(サンマ、サーモン、マグロ、サバなど)、牛乳、チーズ、ヨーグルト、およびいくつかの種類のキノコが含まれます。しかし、摂取効率では紫外線に勝るものはないそうです。

窓ガラス越しに日光を浴びても、ビタミンDは作られない。

紫外線のリスクを避けた正しい日光浴法。

体内でのビタミンD合成にかかわるのは、紫外線のUV-Bです。
まずは太陽光の説明からします。地上に降り注ぐ太陽光には、私たちの目に見える「可視光線」から目に見えない「不可視光線=赤外線・紫外線」まで、さまざまな波長の光が存在します。

紫外線は、波長の違いによってUV-A、UV-B、UV-Cの3種類に分けられます。このうち最も波長の短いUV-Cはオゾン層で遮断されるため、地表には届きません。
波長が長いUV-Aは地表に届く太陽光の約5.8%を占め、UV-Bと異なり窓ガラスを透過するため、室内やクルマの中にいても日焼けを起こすことがあります。

いっぽう、UV-Bは地表に届く太陽エネルギーの約0.2%とごくわずかですが、UV-Aよりもエネルギーが強く、日焼けを起こしてシミやくすみ、しわなどの原因となります。体内でのビタミンD合成にかかわるのが、このUV-Bなのです。

このUV-Bは、ガラスを透過できません。ガラスがすべてのUV-Bを吸収するのです。そのため、窓ガラス越しにどんなに強い日光を浴びても、UV-Bは得られず、ビタミンDを生成することはできません。ビタミンDを生成するためには、窓を開けて日光を浴びたり、家の外に出ることが必要です。

シミやくすみ、しわなど起こさない程度に日光を浴びること、これこそが紫外線のリスクを避けながら健康になる方法です。

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