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“涙”の秘密を知ることが、目の健康につながる。

“涙”が出ないと、目の機能はストップする!!

今回のテーマは“”です。映画などを見て感極まったとき目から流れる液体です。この涙、とても重要な機能というか働きがあったんです。
ドライアイで悩んでいるあなた、ぜひ、読んでください。目から鱗(ウロコ)が落ちますよ。

私たちの体は死んだ細胞で覆われている

人間の体は死んだ細胞で覆われていて、それにより外界から守られている……と聞くとショッキングな内容で驚きますよね。これは本当です。

わたしたちの肌-ー皮膚は、真皮と表皮からなりたっています。そのうちの表皮が肌表面にあたる部分で、厚さは平均0.2ミリほどです。この表皮の、いちばん外側にあるのが角質層です。角質層は、表皮の基底層が絶えず分裂をくりかえすことで押し上げられた“死んだ細胞”からつくられています。肌の表面は“死んだ細胞”で覆われているのです。
さらに、爪、髪もすべて角化したものであり、死んだ細胞です。人間は、死んだ細胞で体を覆われている、と聞くとそんな役に立たないものいらない、と思いがちですが、それは大間違い。その役割は重要です。

①水分の蒸発を防ぐ
②体温を調節する
③微生物や物理化学的な刺激から生体を守る

など生命を維持するために必要不可欠な役割を果たしているのです。とくに①水分の蒸発を防ぐ、はとても大切です。生きた細胞は、空気に触れるとすぐに乾燥してしまうからです。

ところが人間の体の表面で、死んだ細胞で覆うわれてない部位があります。どこでしょうか?
目です。
目のように生きた細胞が直接大気にされているのは、人体では珍しいケースなのです。それが乾燥せずにいられるのは、そう今回のテーマである、“涙”が常に目の表面を覆っているからです。

“涙”の秘密を知ることが、目の健康につながる。

誰もが1日中、涙を出している。

悲しいときに私たちは涙を流します。実は、悲しくなくても誰もがほとんど一日中、涙を出していることを知っていますか。

一定量の涙を出し続けているのです。これは「涙の基礎分泌」と呼ばれています。この涙の分泌が止まると、私たちは目を開けていられなくなるのです。目の表面が乾燥してしまうからです。

普段の涙は、瞬きの刺激によって出ています。瞬きの回数は、通常の人なら1分間に平均21回。3秒に一度は瞬きしている計算です。これによって目が乾燥するのを守っています。

涙は「目の乾燥を防ぐ」役割のほかに、もうひとつ重要な役割があります。

涙は、“角膜”に酸素と栄養を供給する。

“涙”の秘密を知ることが、目の健康につながる。

上の写真で見てわかる通り、目は大きく黒目と白目に分かれます。黒目の部分をおおう透明な膜が“角膜”です。

“角膜”は成人では横径12mm、縦径11mm、厚さは0.5mmで、光を屈折して集めるために透明で湾曲しています。

白目は、結膜(白目の表面を覆っている半透明の粘膜)や強膜(白目の深いところ)で構成されていて、よく見ると細かな血管が張り巡らされているのがわかります。目を酷使したりすると血管が目立つようになり充血したりします。これは目に酸素や栄養をたくさん送り込むための反応です。

ところが、黒目“角膜”には血管がありません。白目が黒目“角膜”に接するところで途切れています。透明な“角膜”に血管が入り込んだら、視界の邪魔になるからです。
しかし、角膜は生きた細胞です。酸素と栄養の補給をしなくてはなりません。そこで血液の代わりの働きをしているのが、実は涙なのです。

“涙”の秘密を知ることが、目の健康につながる。

涙は目の表面にごく薄い層となって、延び広がっています。薄い層ですが、細かく見ると2つの層に分かれています。
“油層(ゆそう)”と“液層(えきそう)”の2つの層からできていて、角膜の“粘膜上皮細胞”にくっついています。

“油層”は脂肪分に富んだ液体です。これが涙全体を覆っているために、涙は普通の液体よりもはるかに蒸発しにくいのです。油層は、まつ毛の生え際に並ぶ、マイボーム腺と呼ばれる器官で作られていています。マイボーム腺がつまるとまぶたが赤く腫れる、これがいわゆる“ものもらい”です。

“液層”は、涙の本体です。主に涙腺から分泌された涙液でできており、そこに主に結膜から分泌されたムチンと呼ばれる粘液(糖タンパク)が混ざっています。酸素や目に必要な栄養などの成分が含まれ、目の健康を保つているのです。

そうです、「目の乾燥を防ぐ」役割のほかに、涙のもうひとつ重要な役割が、“角膜”に酸素と栄養を供給することです。
涙の本体は、上まぶたの裏の耳側にある涙腺で作られています。

“涙”の秘密を知ることが、目の健康につながる。

涙が出ない病気、ドライアイ。

いま、多くの人たちが悩んでいる“ドライアイ”。簡単にいうと、涙の分泌量がなんらかの理由で減少してしまう病気です。
その結果、目が疲れやすい、目が重い、目がかゆい、目がゴロゴロする、長時間パソコン画面などを見ていられない、などさまざま症状に悩まされることになります。しかし、厄介なのはドライアイの原因はひとつではないこと。

例えば、VDT作業による目の酷使があります。仕事でパソコン、通勤途中でスマートフォン、さらにプライベートでもパソコンと、現代人はVDT(ディスプレイ画面)を長時間見続ける機会が急増しています。とくに、職場では9割近くがパソコンを使用する時代で、それを使用する時間も長くなっています。
ディスプレイに向かっていると、どうしても画面を見続けるので瞬きの回数が減ります。涙はまばたきの刺激によって出るので、その回数が減れば自然に涙の量も減ることになるわけです。

ドライアイを治す薬はまだ発見されていないだけに、涙が正常に分泌されるような生活習慣が大切です。

(1)意識してまばたきする
パソコン作業やスマートフォンを見る時も、意識してまばたきをするようにすること。目が開いたままだと、涙がどんどん蒸発してしまいます。

(2)乾燥に注意
エアコン、扇風機の使い過ぎは禁物です。風は目を乾かしてしまいます。

(3)たっぷり睡眠
寝不足や不規則な生活は涙を減らす要因になります。睡眠時間をしっかり確保しましょう。

喜びや悲しみなど、人間はなぜ感極まると涙を流すのでしょうか?

“涙”の秘密を知ることが、目の健康につながる。

涙は、目を正常に機能させるために欠かせない液体です。ところが、喜びや悲しみなど揺れ動く感情によって大量に流れ出る“涙”はなぜでしょうか?

感情的な涙ですが、生理的に流れる涙と何か違いがあるのでしょうか?
1980年代、これに疑問を持った米セントポール・ラムゼイ・メディカルセンターのウィリアム・フレイ博士らが涙の成分を分析する研究を始め、世界的にも注目されるようになりました。

涙を流した後、気持ちがスッキリするという数々の報告をもとに、フレイ博士は「ストレスの結果生じた化学物質が、涙のなかに溶け出して流れさるのではないか」という仮説を立てのです。
実験協力者に泣ける映画を見せ、涙をたくさん集める方法を工夫するなど苦労を重ねた結果、感情的な涙には、脳内で作られた化学成分が比較的高い濃度で含まれていた、というのです。

多くの研究者が追試に乗り出したのですが、同じような結果はなかなか出なかったため、今ではフレイ博士の仮説は否定されています。

今、脳科学の研究から糸口が見え始めています。東邦大学の有田秀穂教授は、涙を誘う映画を見る実験で協力者の脳の活動状況を調べ、ある共通の傾向を見つけました。

涙を流す前には必ず、額のほぼ中央部にあたる「正中前頭前野」と呼ぶ場所の活動が急激に高まった

というのです。

この場所は、高度な精神活動をつかさどる前頭前野のなかでもとくに共感に関係しています。涙腺を刺激するのは神経の興奮を抑える副交感神経で、正中前頭前野は、副交感神経を働かせる引き金の役割を担っていると考えたのです。

その効果は一晩の睡眠に相当するほど大きく、有田教授は

社会生活を送るなかで人間は、涙を流すというストレスの解消法を身につけたのではないか

と推測しています。

ストレス社会に生きる私たち。ストレス解消のためにも、映画や音楽を楽しみ、大いに泣いて、涙を流すことが必要なのかもしれません。

まとめ《涙の働き》
角膜の表面に均一に膜をつくって光を通しやすくする。
まばたきや目を動かすとき、まぶたと眼球のあいだを滑らかにして動きをスムーズにする。
外から入った菌を殺菌する。
角膜に水分、酸素、栄養を与える。
目に入ったゴミや角膜のカスを取り除く

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