あなたのお子さんはネット依存になっていませんか?
インターネット依存が疑われる中高生が全国で推計93万人に上るとの調査結果を、厚生労働省研究班が2018年9月31日発表しました。中高生の12~16%にあたり、スマートフォン(スマホ)の普及を背景に2012年度調査時51万人から倍近く増えています。中高生全体約650万人の7人に1人に当たる計算となります。スマートフォンを使ったゲームや会員制交流サイト(SNS)の普及が背景にあると考えられています。ネット依存では成績低下、居眠りなどの影響が出ており、研究班は対策強化の必要性を指摘しています。
「予備軍」も含めると、中高生のネット依存は254万人に!
研究班は2017年12月~2018年2月、全国の中学48校と高校55校の全校生徒を対象に調査し、6万4329人から回答を得ています。
「ネット使用を制限できなかった」「やめようとしたらイライラした」など8項目のスクリーニング(適格審査)のうち3~4項目当てはまると不適応使用者、5項目以上だと病的使用者として「ネット依存の疑い」としています。ネット依存の疑いのある割合は、中学男子で10・6%、女子で14・3%、高校男子で13・2%、女子で18・9%となっていて、全国では少なくとも93万人と推計されています。2012年度の調査では推計51万人で、ほぼ二倍になっています。
質問に3~4項目当てはまる「予備軍」の不適応使用者を含めると254万人に上り、中高生の半数前後がネットのやり過ぎで成績低下などを経験していました。
厚生労働科学研究成果データベース「飲酒や喫煙等の実態調査と生活習慣病予防のための減酒の効果的な介入方法の開発に関する研究」より
ネットの使い過ぎで「成績低下」「居眠り」「遅刻」を引き起こす
30日以内に利用した端末は中学生の7割、高校生の9割がスマホを挙げ、2012年度調査で最多だったパソコンは中高生とも2割台でした。学年別に集計した利用率は、LINE(ライン)などのチャットツールが6~9割。動画サイトが7~8割で、オンラインゲームは4~5割でした。
ネットの使い過ぎが招いた問題について、高校生の半数が「成績の低下」と「授業中の居眠り」と回答。高校3年生の0.9%が年間30日以上の長期欠席を経験していました。
ネット依存は、インターネットやオンラインゲーム、SNSなどを使い過ぎる状態で、日常生活に支障が出ます。暴力や引きこもり、うつ病などの合併症や脳の障害を引き起こす恐れもあるのです。
学校で実施した調査なので、通学できないほど症状が重い人は対象に含まれておらず、インターネット依存疑いの中高生は実際にはもっと多いとみられています。
ネット依存は親の責任でもある。
今や子どもたちの大半が携帯やスマホを持つ時代。それを子どもたちから取り上げ禁止するということはなかなかできません。それならば、
- スマホや携帯の使用時間は、1日1時間以内にする。
- 勉強中や睡眠中はスマホや携帯の電源をOFFにする、など家庭でルールをつくる。さらに家族のコミュニケーションを深めるためにも食事中、会話中もスマホや携帯の電源をOFFする。
子どものネット依存は親の責任でもあります。せっかく自宅で勉強しているのにスマホによるインターネット使用でそれが無駄にならないようにするためにも、親がルールを決めることが重要だといえます。
インターネット使用時間の詳細データ
この30日間に、あなたは学校のある日に1日平均どれくらいの時間、インターネットをしましたか?
中高生のともに1〜2時間未満が多いが、高校生になると3〜5時間未満が多くなります。5時間以上も高校生では多く、インターネットの過剰使用がはっきりわかります。
この30日間に、あなたは学校の休みの日に1日平均どれくらいの時間、インターネットをしましたか?
休日の使用時間をみると、3〜5時間未満が多くなり、ついで5時間以上も多かった。しない人はほとんどなく、多くの中高生がネットを長時間使用しています。
この30日間に、あなたが使用したインターネットのサービスは何ですか?
この30日間で、あなたがインターネットを利用した時に使用した機器は何ですか?
ダントツでスマホが多く、ついでパソコン、携帯ゲーム機となっています。
このページ上部に掲載している「ネット依存がわかるスクリーニング(適格審査)」の8項目への回答結果から、ネット依存の度合いを導き出し、それを表にまとめたものです。
2012年度の調査結果と比較すると、2017年度では不適応使用者、病的使用者の割合が中高生ともに明確に増加しています。
今までにあなたは、インターネットの使い過ぎで、何か問題を起こしたことがありますか?あてはまるものをすべて選んでください
中高生とも「成績低下」を半数以上が実感しています。
厚生労働科学研究成果データベース「飲酒や喫煙等の実態調査と生活習慣病予防のための減酒の効果的な介入方法の開発に関する研究」より