スマホ利用が子供の視力低下を招く
スマホの普及で、子供たちの目が危ない
子どもたちのスマホ普及、インターネット利用は深刻です。そこで、総務省の「令和2年通信利用動向調査」や、東京都教育庁の令和2年度 「児童・生徒のインターネット利用状況調査」を見ながら、小中高生のスマホ普及、インターネットの浸透を調べました。視力低下や学力低下など、心や体への影響は大きく、無視できない状況になっています。
中高生の8割がスマホを持ち、インターネットを利用
まずは、下のデータを見てください。小中高生のスマホ利用状況がわかるデータです。
総務省では、令和2年9月に全国を対象にした「令和2年通信利用動向調査」を実施しました。
その調査結果のなかの「個人のインターネット利用状況」に注目。
インターネット利用者の割合は、13歳~59歳の各年齢層で9割を超えていたのです。
子どもだけに絞ると
6~12歳が80.7%、
13歳~19歳が96.6%
小学生では8割、中学生・高校生のほとんどがインターネットを利用しているという結果が出ているのです。
そのインターネット利用機器としては全体で見るとスマホが7割、パソコンが5割となっています。
それを子どもに絞ると、利用機器としてスマホを使用しているのは、
6~12歳で40.6%、
13歳~19歳で81.4%
と、中高生の8割がスマホを持ち、インターネットを利用しているのです。
中高生では、スマホは1人1台時代になっている。
この結果は、東京都教育庁が都内児童やその保護者を対象にした令和2年度 「児童・生徒のインターネット利用状況調査」 調査報告書にも同様の結果が出ています。調査は令和2年10月から実施。
『生徒のインターネット利用状況の割合』は、
小学生で88.7%
中学生で99.0%
高校生で98.7%
となっており、中高生は全員インターネットを利用しているといっても過言ではありません。
また、『インターネットを利用するための機器』として、スマホを利用している割合は
小学生で60.3%
中学生で86.2%
高校生で97.2%
と、中高生では、スマホは1人1台時代になっていることを表しています。
『インターネットをどのような目的で利用しますか』の設問に対して、割合の高い順から
①ゲームや音楽など、自分の趣味のため
②家族と連絡をとるため
③ニュースや天気予報など、普段の生活に必要な情報を調べるため
となっています。
高校生は、10人中2人強が1日6時間以上、インターネットを使用している。
「一日のインターネット利用時間」は、各層別で一番割合が高いのが
小学生では「1時間程度」30.4%
中学生では「3時間程度」24.6%
高校生では「6時間を超える」24.8%
となっていて、高校生は10人中2人強が1日「6時間を超えてインターネットを使用」とは驚きの結果です。
高校生は10人中4人が深夜にインターネットを利用
さらに驚いたのが、「インターネットを何時まで利用しているか」の設問に対しての回答です。
中学生で一番多いのが「午後10時過ぎ~11時頃」26.5%
高校生で一番多いのが「午後11時過ぎ~12時頃」27.2%
しかも、高校生では「午後12過ぎ~午前1時以降」が39.7%もいることです。
10人中4人は深夜にインターネットを利用しているという結果が出ているのです!!
これでは、学力、健康への影響が心配になります。
インターネット利用で、中学生35%、高校生で38%が「目が悪くなった」ことを実感。
実際、子どもたち自身も学力、健康への不安を感じています。
「インターネットを利用していることにより、あなたの生活や健康に変化がありましたか」の設問に対して、小学生から高校生まで、一番多い不安が「目が悪くなった」ことです。
「目が悪くなった」と回答した子どもは、
小学生で18.5%
中学生で35.5%
高校生で38.1%
となっていて、視力低下を実感しています。
スマホ利用で学力が低下する、という調査結果が?!
スマホによる学力低下も深刻です。
LINE等の無料通信アプリを長時間使用している子どもほど、学力が低いことが明らかになっています。仙台市標準学力検査の中学生の数学の平均点と平日1日あたりの通信アプリの使用時間との関係を調査したところ、「平日に30分未満しか勉強しない」生徒の場合、通信アプリを使わない生徒の数学の平均点は約61点であるのに対して、3時間以上使う生徒の数学の平均点は50点以下になっていることが分かっているのです。
また、平日1日あたりの通信アプリの使用時間の長さは、子どもに与える影響力が非常に強く、勉強時間や睡眠時間に関係なく、直接的に成績を下げる方向に作用している(勉強時間や睡眠時間が少なくるために成績が落ちるのではない)恐れがあるというのです。
●スマホなどの使用時間と学力の関係
家庭でルールを作り、子どもをスマホから守る。
スマホの普及が進むなか、2015年11月に東京都で「SNS東京ルール」が策定されたのをご存知でしょうか?
SNS東京ルールには、5カ条があり、子どものスマホ利用で悩んでいる親にとって役立ちそうなので紹介します。
SNS東京ルール
- 一日の利用時間と終了時刻を決めて使おう。
- 自宅でスマホを使わない日をつくろう。
- 必ずフィルタリングを付けて利用しよう。
- 自分や他者の個人情報を載せないようにしよう。
- 送信前には、相手の気持ちを考えて読み返そう。
つまりルールでは、スマホの利用時間を抑えること、夜間の利用を控えることなどを提案。利用上でトラブルになりやすい個人情報の掲載やコミュニケーション上のトラブル、違法有害サイトへのアクセスなどを防ごうというものとなっているのです。
では、スマホ利用の利用時間はどれくらいにしたほうがいいのでしょうか? SNS東京ルールのプロジェクトでは、
スマホや携帯の使用時間は1日1時間以内にすること
勉強中や睡眠中はスマホや携帯の電源OFFする、など家庭でルールをつくる。さらに家族のコミュニケーションを深めるためにも食事中、会話中もスマホや携帯の電源をOFFする。
といった家庭でのルール作りを提言しています。子どものインターネット依存は親の責任でもあります。親がルールを決めることが重要だといえます。
スマホ利用は1日最高で1時間まで、の理由は!
知っている方も増えていると思いますが、LEDライトが発する短波長の高エネルギーであるブルーライトは、網膜を障害することが報告されています。ブルーライトは、可視光の中でももっとも短波長・高エネルギーであるため、目の表面だけでなく、目の奥までダメージを与えます。
このLEDライトは、そう、スマホの光源です。スマホを長時間、見続ける人は、LEDライトによる網膜障害が起こる可能性があるのです。
スマホ以外でもパソコン、テレビ、家庭の電灯などからも放出されています。が、とくにスマホは、近くから集中してLEDのモニターを見続けますから、注意が必要なのです。子どもの目は発達途上ですし、若い時期に目に障害が起こると、取り返しがつかなくなります。
近視の進行を予防、視力を維持することはとても重要です。なぜなら、視力低下は、白内障や緑内障など、後年、より深刻な眼の問題を引き起こす可能性があるからです。
また、視覚系が適切に発達するのを妨げ、後年の永続的な問題につながる可能性があります。さらに、スマホはしすぎると、近視はもちろん、黒目が内側に向いて「斜視」の原因にもなるのです。
さらに、ドライアイと頭痛は、スマホ、パソコン、タブレットを長時間見つめることの一般的な副作用です。液晶画面を長時間見続けると、私たちはまばたきが少なくなる傾向があり、「涙」が目の表面を滑らかにするのを邪魔するのです。
だからこそ、「スマホは1日で最高1時間まで」という目安をつくり、子どもの目を守ることが必要なのです。
「スマートフォン症候群」とは?
スマホの長時間の使用により生じる、肩こりや首のこり、腱鞘炎、眼精疲労、視力低下、ドライアイなどの症状の総称が『スマートフォン症候群』。こういった身体の直接的な不調だけでなく、「スマホがないと不安を感じる」など、『スマホ依存症』も問題になっています。
スマートフォン症候群の代表的な症状
●肩こり
スマホを使用するときは、どうしても頭が下がりがち。この姿勢を長時間続けていると、首の後ろから肩にかけて筋肉が強張り、血流が悪化。肩こりの原因となります。
●疲れ目・眼精疲労
長時間じっと画面を見つめていることでおきます。一晩ゆっくり睡眠を取っても目のかすみや痛みが治らない状態です。
●スマホ肘
テニス肘やゴルフ肘と似たような、腕のしびれや肘の痛みを生じます。スマホを長時間、空中に保つために肘の筋肉を酷使することで起きる腱鞘炎。
●スマホ巻き肩
スマホの使用で体が丸まり、頭を前に出すような形、つまり猫背になってしまことで起きます。肩こりの原因になるほか、放置すると片頭痛や目のかすみなどが出る場合も。
●ドケルバン病
ドケルバン病とは「狭窄性腱鞘炎」という腱鞘炎の一種。手首の親指側の腱鞘に炎症が起こるもので、指を頻繁に使うことで起こる病気です。
●うつ症状
重要な自律神経が集中する首を長時間圧迫することで、副交感神経の働きを阻害し、頭痛やめまい、全身のだるさや食欲不振、不眠などの症状を引き起こすことも。こういった状況が長く続くと精神的にも悪影響がでて、うつ症状を招くこともあります。