乳児期・幼児期の視力はどれくらい?

子どもの視力回復

乳児期・幼児期の視力はどれくらい?

    小さなお子様の視力検査ができる「字ひとつ視力検査表」

    3歳〜6歳ころは視力の発達にとって大切な時期!

    生後1カ月の赤ちゃんが自分の目の前で手を動かすことから始まり、2カ月くらいで人や手を目で追うようになります。その後、1歳児で視力0.3、2歳児で0.5、3歳〜6歳で0.9〜1.0というのが視力の正常値の目安です。人の見る力の発達は、6~10歳くらいでほぼ終わるといわれています。それだけに、3歳から6歳ころは視力の発達にとって、一生に関わる大切な時期なのです。この時期の視力低下には注意が必要で、弱視の早期発見に努めるなど、目の健康に気をつけることが必要です。
    乳児期・幼児期の視力はどれくらい?生まれて1週間もすると、授乳させている母親の目をじっと見つめるように。

    乳児期・幼児期の視力はどれくらい?

    乳幼児の視力、その発達と目安

    年齢視力発達の目安と注意点
    胎内●母親の胎内にいるときほぼ30週ほどで、目の角膜、虹彩、水晶体、硝子体、角膜などは完全な形でできあがっています。
    0〜1カ月0.01〜0.02●まぶしい,暗いや色の黒・白・グレーは認識でき、輪郭などはまだ認識できないようです。●生まれて1週間もすると、授乳させていると、母親の目をじっと見つめるようにし、もうなんでも見えるように思えます。生後1カ月ぐらいまでは、明るいほうに目を向けますが、実は視力は0.01~0.02くらいといわれています。

    ●眼球運動は協調性がないので、両方の目がバラバラに動きます。

    1〜2カ月0.01〜0.02●1カ月を過ぎると目の近くにある色のはっきりしたものを、じっと見つめる「固視」があらわれます。
    2〜4カ月0.1●2ヶ月くらいでモノや色を認識し、ゆっくり動いているものを目で追う「追視」ができるようになります。●人間は2つの目で同じ物を見ないと、距離感や立体視は得られません。投げられたボールをうまくキャッチできるのも、両方の目でボールを見て距離感や立体感を得られるからです。この力は、生まれたときから備わっているわけでなく、生後3~4カ月から発達し始めて、3歳ごろまでに完成します。そして、6歳くらいで大人並みになります。
    立体視が正常に機能するためには、左右の目に大きな視力差がなく十分に育つていることが大切です。片方の視力が1.0で、もう一方の片目の視力が0.3以下というように極端に差があると(不同視)、左右の目から脳へ送られる情報が著しく異なるため、その情報を受け取った脳が混乱し、ひとつの立体映像にまとめる力が育たなくなったり、場合によってはまったく育たないことも。それだけに、この立体視の能力ができあがる6~9歳までは、目に病気があっても、眼帯をすることには細心の注意が必要といわれています。
    4カ月〜1歳0.2●両目でものを見たり、少し遠い動きのものを目で追えるようになります。●生後6カ月ころ、奥行や距離感がつかめるようになり、顔をしっかりと区別をつけることができるようになります。この時期から「人見知り」が始まります。
    1歳〜2歳0.3〜0.5●はいはいを卒業してそろそろ歩き始めたり、「ママ」「パパ」と話し出す満1歳の誕生日を迎えるころ、子どもの視力は0.3くらいになります。●2歳になると遠くのものと近くのものの区別ができるようになります。
    3歳〜6歳0.9〜1.0●眼球の大きさは、新生児で約16ミリ、おとなの約24ミリより小さく、3歳でようやく大人並みの大きさになります。●視力が1.0に達して大人並みになるのはふつう4~6歳ぐらいです。早い子どもでは3歳くらいで視力0.1に達します。

    ●角膜は、5~6歳で完成します。

    ●色覚、つまり色を見分ける力も、生まれたときから十分に備わっているわけではなく、経験によって目の発達が促され、6~10歳くらいで完成します。色覚は、視神経や脳の発達と関係が深く、色を感じて興奮する細胞、視神経、脳の3つの成長があってはじめて、おとなのレベルに達するのです。そのためにも、公園に散歩にいつて緑に囲まれた歩道を歩いたり、散歩で出会った人たちから「いないないばあ」をしてもらったり、車や電車が走るのを見たり、適度な外界からの刺激をあたえることが大切なのです。

    ●両目で物を見る能力は6歳くらいで完成します。また、距離感や立体感を知る力も、生まれたときから備わっているわけでなく、徐々に発達して、6歳くらいで大人並みになります。

    目の成長はもちろん脳の成長にとっても、幼児期は大切な時期です。子どもの脳は、3、4歳で脳の約8割、10歳ではほぼ9割が完成するといわれているのです。
    この脳の成長期には、よい刺激が大切です。

    ・話しかけたり、音楽を聴かせるなどの聴覚刺激。
    ・お母さんの手でやさしく触る触覚刺激。
    ・お絵描きをさせるーー絵を描くことは観察することです。その過程で視覚、触覚、嗅覚、聴覚など、さまざまな感覚を刺激。
    ・「見る」ことの視覚刺激。

    そう、「味覚」「聴覚」「嗅覚」「視覚」「触覚」の5感を刺激させることの重要性を忘れてはいけません。

    《新生児の半数以上は左右の目が少し外に向いている》
    右のイラストは、大人が普通に正面を見ている時の両目と、新生児の両目です(新生児とは、出生から満1歳未満までの赤ちゃんを指します)。
    乳児期・幼児期の視力はどれくらい?

    大人の正しい目の位置を「正位」と呼びます。
    新生児の場合、55%以上は、左右の目が少し外に開いたようになっています。その開き具合は、正位から15~35度程度です。
    これを見て、「斜視では!」と、心配になります。が、大丈夫です。生後3週間ほどで目立たなくなり、生後2ヵ月の頃はほとんど正位になります。

    「3歳児検診」で子どもの視力の状態を知ることが大切。

    乳児期・幼児期の視力はどれくらい?

    3歳児になると、体や心が大きく成長して一人で色々できるようになります。そんな頃に受けるのが、「3歳児検診」です。正確には、「3歳児健康診査」といいます。この検診は、国が各自治体にその実施を義務付ける、無料の検診です。目的は、地域の親子の健康を守ることです。実施項目は、自治体によって異なる場合もありますが、身体計測、視力検査、助産師や保健師さんによる問診、発達のチェック、医師による診察、歯科検査&フッ化物塗布などが行われます。
    一般的には小学校入学前に行われる最後の自治体主体での健診なので、しっかりと検診を受けましょう。

    検診のひとつである「視覚検査」は、

    1. 家庭で保護者が行う一次健診
    2. 保健所などで医師・保健師・看護師・視能訓練士などが行う二次健診
    3. 受託医療機関(眼科)で行う精密検査

    の3段階からなり

    ●一次健診

    視覚検査セットが各家庭に郵送されます。その説明書に従い、保護者が視力検査を行い、アンケートに回答し、結果は3歳児健診会場に持参します。

    ●二次健診

    一次健診で、・家庭での視力検査で視力不良、検査ができなかった・アンケートの回答で目の疾患、目の異常が疑われるお子様に対して二次健診が行われます。

    ●精密検査

    二次健診の結果、視力検査で片目のうちでも裸眼視力が0.5未満であったお子様、目の異常や疾患が疑われるお子様は精密検査を実施します。

    視覚検査の目的は、斜視や弱視、また遠視、近視、乱視などの屈折異常といった視覚機能の疾患を早期に発見することです。3歳の時点では弱視や視力異常があっても矯正が可能であるいわれております。視力が安定してくるこの時期に検査をしておくことが大切なのです。

    では、なぜ3歳なのか? 子どもは3歳になると視力検査ができるようになってきます。そうなるとほぼ正確に視力がわかるのです。視力検査は物を見て、それを見えたと反応することができる必要があるので、実際に見えている視力よりも低くなります。3歳をすぎると正常なら1.0くらいの視力がありますが、検査に慣れていないことも多いので、0.5くらいでも正常と判断しています。

    3歳児健診の視覚検査の流れ

    3歳児健診の目に関するアンケート例

    視力の3歳児検診の検査項目

    ●視力検査

    輪に切れ目があるC(ランドルト環)を使った「ランドルト環字ひとつ検査」が、視力を正確に測りやすいといわれています。2.5メートル離れた位置から、ランドルト環のCの文字のすきまが空いている方向を答えるという、方法でチェックします。Cの絵を見せられて、「虫さんが食べて穴が開いちゃったほうを指さしてね」と、なごやかな雰囲気で行われているようです。検査キットが配られて、事前にご家庭で検査しておく自治体も多いようです。左目、右目、両目で順番に行って視力を判定し、どれかひとつでも0.5以下だと要精密検査となります。

    ●立体視検査

    「この動物さんたち、おぼえといてね」と、鳥や犬などの動物などが描かれた絵カードを3枚見せられます。次に、さっき見たのと同じ動物がところどころに隠れている大きな絵を、40cmほど離れたところから見るようにいわれます。「さっき見た動物さんたちは見えるかな?イヌはどこにいる?」などと聞かれます。答えられない場合は、立体を目で捉えられていない可能性があり、次の眼位検査とあわせて斜視などの疑いが診断されます。

    ●眼位検査

    ペンライトで30cm離した位置から両眼を照らし、角膜の反射位置に異常がないかを見て斜視の有無をチェック。また、人形などを顔の前で近づけたり遠ざけたりして見せ、目の向き、動きが人形に集中し安定しているかどうかを見て、斜視の有無をチェックします。

    乳児期・幼児期の視力はどれくらい?外に出て、適度な外界からの刺激をあたえることが目の発達には大切。
    目の健康管理のために、次のことに気をつけて、これからも視力の発達に気をつけた生活を心がけましょう。
    ●家庭では、外遊びや散歩など、積極的に遠くを見る機会をつくる。
    ●テレビを見たり、本を読んだりする部屋は、明るすぎたり、暗すぎたりしないように注意する。
    ●テレビの視聴やテレビゲーム、携帯ゲーム等の使用を長時間しないで、目を休ませる。
    ●栄養のバランスを考えた食生活を、心がける。

    家庭でも3歳〜6歳児の視力を調べられる「ランドルト環字ひとつ視力検査表」

    3歳から6歳向けの視力検査のやり方

    字ひとつ視力検査表イラスト

    字ひとつ視力検査表は、上下左右に回転させ、切れ目の位置を変えて使います。

    ランドルト環字ひとつ視力検査は、視標「C」を一つずつ見せて視力を測定する方法で、読み分けが困難な幼児に利用されます。家庭での視力検査は、晴れた日の明るい場所を選び、楽しい気持ちで行えるようにしょう。初めは何度か練習を。上下左右と切れ目の位置を変え、3方向が正しく答えられればOKです。3歳児は、2.5mで0.5の視力があれば大丈夫です。4~6歳児は、5メートルで1.0の視力があればOKです。なければ眼科で検査をすることをおすすめします。
    ※家庭で「ランドルト環字ひとつ視力検査」ができるよう、下記に

    • 子どもの手持ち用ランドルト環とアイマスク
    • 検査する人用のランドルト環字ひとつ視力検査表3種類

    のPDFデータを用意しています。A4サイズで作成していますので、プリントアウトする時は、A4サイズでページの拡大縮小なしでプリントしてください。

    ランドルト環字ひとつ視力検査をするための素材

    関連記事