目が疲れる、ものがダブって見える、それは“斜位”のせいかも。

視力に関わる疾患

目が疲れる、ものがダブって見える、それは“斜位”のせいかも

    斜位”なのかどうかを調べるチェック方法を紹介。

    眼精疲労を訴える人の50%が斜位だった!?

    いま、眼精疲労で悩む人は確実に増えています。

    眼精疲労と”疲れ目”は同じものだと思われがちですが、実は違います。
    疲れ目は一時的なもので、休息や睡眠をとれば自然に回復し、体への悪影響もほとんどありません。

    一方の、眼精疲労は、眼痛やかすみ、充血といった目の症状以外に、体の別の部位にも影響を及ぼし、慢性的に頭痛や肩こりなどの症状が現れることもあり、休息や睡眠では回復しません。

    その原因の多くは、目の筋肉の疲労である”こり”です。

    今は、近くのものを長時間見続けることから逃れられない時代です。テレビ、パソコン、携帯電話、スマホなど、少ない人でも1日2、3時間、多いと10時間以上「画面」と接触しています。パソコンやスマホの画面を長時間じっと見つめていると、ピントを調節する毛様体筋が緊張しっぱなしになって疲弊してしまい、その結果、眼精疲労となるのです。

    実は、この調節機能の低下以外で、眼精疲労の原因となっているものがあります。それが斜位(しゃい)です。隠れ斜視ともいわれています。

    目が疲れる、ものがダブって見える、それは“斜位”のせいかも。
    象牙堂めがね店のホームページより。 上記のグラフは、象牙堂めがね店へ来店された人1,000人について調べた結果です。斜位の有無の割合は、斜位のある人が51.4%と驚きの結果。一般の約半分の人に斜位があると推察できるのです。

    隠れ斜視とも呼ばれる斜位。

    「斜位(しゃい)」とはなんでしょう? よく耳にする「斜視(しゃし)」とは、少し違います。

    ●斜視=常に片目が別の方向にズレてる目。

    ●斜位=モノを見ようとするときは両眼とも中心にあるのに、見る対象がない場合(ボーッとしているときなど)に、左右の目が別々の方角を向いてしまう目。

    正常な目は、両目でモノを見ているとき、視線のズレは発生しません。このとき、目を動かす筋肉「外眼筋」は視線をモノに合わせるために働いています。
    斜位の人も同様に動きますが、違うのは暗がりでの目の状態です。暗がりの中でモノを見なくなると、目は一番ラクな位置(本来のズレた位置)に戻ってしまうのです。

    さらに詳しくいうと、片目を隠したとき、隠された目はモノを見る必要がなくなるために、その目にとって楽な位置へと移動します。このように、片目を隠したときに、隠した目が外方向を向く状態を、外斜位(がいしゃい)と呼びます。

    内方向に向くのなら内斜位(ないしゃい)です。

    上下斜位(じょうげしゃい)というものもありますが、この場合は、右目を隠したときに右目が上方向へ動くのなら、上斜位(じょうしゃい)と呼びます。

    会話中などでは目が真っ直ぐに向いているので、一見、他人からは斜位と分かりません。本人も自覚していないことが多いようです。

    【GIFアニメーションで、目が動きます】
    目が疲れる、ものがダブって見える、それは“斜位”のせいかも。
    隠された左目が外側へ動くなら外斜位です。
    目が疲れる、ものがダブって見える、それは“斜位”のせいかも。
    隠された左目が内側へ動くなら内斜位です。

    疲れ目を訴える人は、斜位を疑ったほうがよい!

    斜位は決して珍しいことではなく、多くの日本人が斜位だと考えられています。

    斜位が日常生活に障害を起こすのは、斜位のズレ幅と、目を寄せる力とのバランスに問題があるケースです。

    斜位がある場合、「目にとって楽な位置」から「視線を合わせるために必要な位置」まで、外眼筋を働かせなければなりません。つまり、モノに視線を合わせている間、絶えず外眼筋を働かせ続けていることになります。

    たとえば、外斜位であれば、遠方を見ているときに比べて、見る物体が近くにあればあるほど、目を内側に寄せる必要があります。近くのものを見ようとするほど、外眼筋をたくさん働かせなければなりません。そのため、斜位の程度によっては、ずっと近いところを見ていると目が疲れてくるのです。

    とくに内斜位の人は、目はそもそも外側に動かすことが得意でないため、支障が出やすくなる傾向があるそうです。

    また、「右目を上に・左目を下に」同時に動かすことには不慣れなため、上下斜位はわずかなズレであっても、支障をきたすことが多いようです。

    見ようとする対象物と目までの距離も重要なポイントです。デスクトップパソコンなら70~75センチ、ノートパソコンでも50センチぐらいありますが、スマホは20~30センチが普通。スマホの近さだとかなり寄り目にしなければならず、それまで問題のなかった軽い外斜位でも疲れてしまうのです。重症化すると、外出もままならないほど体調が悪くなったり、うつ状態になったりして、会社の仕事に支障が出る人もいるほど。

    斜位の代表的な症状としては

    ・疲れてくると映像がダブることがある。

    ・肩こりや頭痛が多い。

    ・目が疲れやすい。

    などです。

    目が疲れる、ものがダブって見える、それは“斜位”のせいかも。

    斜位を見極める方法。

    自分が斜位なのかどうかを見極めるためのチェック方法があります。

    <やり方> 2人1組で行ないます。
    1. 検査役の人と受ける人が1mほどの距離で向かい合う。(検査を受ける人はメガネやコンタクトレンズはそのままで)
    2. 検査を受ける人は、左目を片手で隠す。
    3. 検査役の人は、対象者の目から40~50cm程の距離に人差し指を出し、見つめてもらう。
    4. 検査役の人が、対象者の目に10cm近くまで指を近づけて戻す。
    5. 指を左右幅20cm程でゆっくり動かす。
    6. 検査役の人は、対象者が指を注視しているかどうかを確認後、対象者に目を覆っている手を素早く右目へ移動してもらう。
    7. この時、右目を隠したとき、隠していない方の左目が動けば、斜位の可能性が考えられる。右目、左目とも、交互に確認する。

    目が疲れる、ものがダブって見える、それは“斜位”のせいかも。
    GIFアニメーションの画像は、左目が内斜位の場合です。あくまで目安となる画像です。

    斜位の症状がひどい場合は、そのタイプによって幾つかの対処法があります。

    ①屈折異常を完全に矯正したメガネをかける

    ②目を寄せる力を補うための「プリズムレンズ」を用いる

    ③トレーニングによって、目を寄せる力を鍛える

    問題を感じたら必ず専門医に相談しましょう。

    ※プリズムレンズとは光を屈折させる力を持ったレンズで、見える映像の位置を意図的にずらすことができるレンズです。プリズムレンズを使用することで斜位による両目の視差を正視の状態に限りなく近づけることができるそうです。

     

     

     

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