子供はなぜ近視になるの?!

子どもの視力回復

子供はなぜ近視になるの?!

    人が成長するプロセスの中に、その原因が!

    なぜ子どもは仮性近視に、さらに近視になるのでしょうか?

    実は、人が成長するプロセスの中に、そのきっかけ、原因の多くは隠されています。そこで、人の成長と目の構造との関係をみてみましょう。

    まず赤ちゃんの視力です。出生時の赤ちゃんの視力は0.02~0.05ぐらいで、20~30センチ以上離れたものがぼんやり見える程度です。
    日々ものを見ることで、赤ちゃんは少しずつ視力を発達させていきます。眼球そのものの性能は大人のものとそう変わらないながらも、目から入ってくる情報を処理する大脳(視覚野)の働きが未発達であるせいで、まだ物事をハッキリとは認識できません。

    1歳時で視力は0.3程度。腰がすわるようになると、赤ちゃんの視点が高くなり、奥行きや高さ、ものの立体感や距離感を視覚情報としてとらえるようになります。

    視力は2歳で0.5程度まで発達しますが、大人並みの視力を獲得するようになるのは、もっと成長してからです。

    立ったり歩いたりができるようになると、子どもの視点はさらに高くなります。このようにして大人と同じような視界がひらけていきます。6歳になると、ほとんどの子どもが1.0の視力になり、このころに視力が完成するといわれています。モノを立体的に把握する両眼視機能も、6~8歳で完成するといわれています。

    こうしてみると、視力は身体の発達に比べてかなり早い時期に完成することがわかります。だからこそ逆に、近視が始まる時期も早い、ということができます。
    近視は小学生になるころから始まり、中学、高校と進むにつれてその割合が増加していきます。こうした学齢期の子どもたちがおちいる偽近視を、仮性近視あるいは学校近視と呼ぶのです。

    視力1.0以下の低視力者の割合は年々増加の傾向にあります。

    子供の目の発達と視力

    裸眼視力1.0未満の子どもたちの推移

    令和2年裸眼視力1.0未満の子どもたちの割合

    子どもの視力1.5や2.0は、めずらしいものではない?

    じつは視力の完成をむかえた子どもの目は、本来とてもよく見えるものなのです。

    なぜなら、子どもは眼軸(水晶体から網膜までの長さ)が大人よりやや短く、遠くを見る時でも、ピントはしっかり合わず、網膜の後ろにずれていることが多いのです。要するに、遠視の状態にあることが多いということです。実際、子どもの視力1.5や2.0は、たいしてめずらしいものではありません。そして、成長とともに子どもの眼軸は伸びはじめ、正常眼とされる状態になっていくのです。

    こうした子どもが大人の正常な眼を獲得する前に、習慣的に机に向かって勉強し過ぎたり、テレビゲームに夢中になって画面を見続けたりすると、どのようなことが起きるでしょうか。
    成長期の子どもの目は、環境に対する適応能力が高いため、毛様体の力で水晶体をあまり厚くしなくても近くが見えるように、眼球そのものを適応させてしまいます。

    たとえば、角膜のカーブが強くなるように変化させて凸レンズ効果を増加させたり、眼軸をより長く伸ばすことで近くを見えやすいようにしたり、目の構造そのものを環境に合わせて変化させてしまいます。毛様体筋という筋肉で調節するのではなく、自らの目の形を環境に適応させて見えやすいようにするのです。

    こうして近くを見やすいように、眼球の適応が進んでいくと、今度は逆に、遠くが見えにくい目になっていきます。仮性近視の状態です。

    仮性近視は、あまり長時間近くを見ないように心がけるだけで、いずれは治るとされています。ところが、すぐにメガネやコンタクトレンズで矯正してしまうと、うまく回復してくれません。
    毛様体筋の働きを元に戻すことなく、水晶体を厚くした状態のまま楽に遠くが見えるように矯正してしまうと、目はその状態に適応し、本当の近視になってしまうのです。

    視力低下が常態化する前に対策を。

    また、仮性近視の状態を放置し、長時間、近くを凝視することを毎日続けていると、毛様体筋が疲弊して働かなくなり、厚くなった水晶体を通常の状態に戻せなくなってしまいます。こうなると、少々目を休ませたとしても、元どおりの視力を取り戻すことは大変むづかしくなります。
    視力低下が常態化する前に、視力回復をはかることが大切なのです。

    屋外で遊ぶ時間が長い子どもほど、近視になりにくい!

    屋外で遊ぶ時間が長い子どもほど、近視になりにくい!
    外で過ごす時間が長い子どもほど、近視になりにくいようです。

     オーストラリアのシドニーとシンガポールに住む中華系の6歳と7歳の子どもたちを比較したところ、親の近視の割合はほぼ同じ(少なくとも父親か母親の約70%が近視)だったにもかかわらず、子どもの近視の割合はシンガポール(29.1%)のほうがシドニー(3.3%)よりも8倍以上多いことがわかりました。

     シドニーの子どもたちは1週間に平均14時間外で過ごしていましたが、シンガポールの子どもたちは1週間に平均3時間しか過ごしていませんでした。

     外で何をするかは関係がなさそうです。
    屋外にいる時間が1日2時間の子どもは、近視になる確率が1日に1時間未満の子どもの4分の1であることがわかっています。

     屋内でスポーツをしても、視力の発達には影響しません。両親が近視ではない子どもよりも、両親とも近視の子どものほうが、屋外で活動すると近視になりにくくなります。このことから、近視に関連する遺伝子は、環境の影響に対する感度ともかかわっていると考えられています。

     興味深いことに、屋外での時間は、11歳から12歳の子どもと比較して、6歳の子どもにはより強い効果を示しています。 人の見る力の発達は、6~10歳くらいでほぼ終わるといわれています。それだけに、3歳から6歳ころは視力の発達にとって、一生に関わる大切な時期なのです。この時期の屋外の時間を含む環境への影響が、より大きくなる可能性が高いのです。

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