身近な目の病気「逆さまつげ」
逆さまつげとは?
まつげが目の方に向かって生えている場合を、一般的に「逆さまつげ」と呼んでいます。
逆さまつげには、まつげ全体が眼球に向かっている状態の「睫毛内反」(しょうもうないはん)と、正常なまつげの中で眼球に向かって生えているまつげが何本かある状態の「睫毛乱生」(しょうもうらんせい)があります。
逆さまつげには、まぶたの構造上の問題で生まれつき起こることもあります。また、
- 「まぶたやまつげの根元の炎症」
- 「まぶたの傷痕」
- 「結膜炎の後遺症」
- 「加齢」
などが原因の場合もあります。
最近は、とくに加齢にともなって、まぶたを支える構造が弱くなり、逆さまつげになるケースが増えているそうです。
また、逆さまつげは、まぶたの血流が悪くなり、通常は血液が流れないところに流れることによって、まつげが普通は生えないところに生えてしまったと考えられます。全身状態の悪化やガンの前兆として生えてくることもありますので、たかが逆さまつげなどとあなどってはならないのです。
逆さまつげの症状
睫毛内反や睫毛乱生になると、まつげが眼球に向かって生えた状態になるため、まつげが目を刺激します。すると、
- 目がゴロゴロする
- チクチクする
- 目が痛む
- 目が充血する
- 目やにが出る
- 目がかすむ
などといった症状が現れます。
逆さまつげの治療法
睫毛内反や睫毛乱生も、抜くとしばらく症状はましになりますが、また生えてくると同じ症状がでてきます。やはり、逆さまつげは、まぶたの構造的な問題が関係するため、根治させるためには専門的な治療が必要となります。
睫毛内反の場合は、まぶたの組織の一部を切除してまつげが生える向きを変えます。
睫毛乱生の場合は、少量ならばその部分の毛根を電気で抜いたりビューラーで角膜に触れないようにすればとくに問題はありません。また、逆まつげがあっても眼の表面の角膜に傷がなければ何もする必要はありません。
しかし自分でまつげを抜いたり、切ったりすると炎症を起こしたり、角膜を傷つける可能性があり、できればそういった睫毛乱生や眼瞼内反を専門とした眼科医に見てもらうほうが安心です。
高齢者に多い逆さまつ毛「老人性眼瞼内反症」
「老人性眼瞼内反症」(ろうじんせいがんけんないはんしょう)は年齢とともに出てくる逆さまつ毛です。下まぶたが内反(ないはん・内側に反っている状態)することで、まつ毛や皮膚が角膜に接触するため,痛みや異物感、不快感を感じます。
原因は、下眼瞼(下まぶた)を支えるスジ「牽引筋腱膜」(けんいんきんけんまく)がゆるんだり、切れて裂けることによると考えられています。
眼瞼(まぶた)には「瞼板(けんばん)」という薄い板状の部分があり、そこへ「下眼瞼牽引腱膜(かがんけんけんいんけんまく)」という筋肉が付着しています。この筋肉が適度に瞼板を下へ引っ張ることによって、下眼瞼(下まぶた)は通常外側に向いてくれています。
この「下眼瞼牽引腱膜(かがんけんけんいんけんまく)」という筋肉の、低下や断裂により、まぶたを支えている組織がゆるんで、まぶたが内側にひっくり返り、逆さまつ毛(眼瞼内反症)の状態になります。70歳代の約3%,80歳代の約5%の人に、この眼瞼内反がみられるといわれています。
そのため補強する手術が必要となります。
下眼瞼(下まぶた)のまつ毛が眼に入っていますので、頻繁に眼科に通ってまつ毛を抜いてもらうのも一つの方法です。通院が大変になってから手術を考えることもできます。
●症状
眼瞼内反症の症状としては、まつ毛やまぶたが角膜に接触し角膜を傷つけるために、痛み、異物感、眼脂、流涙などの自覚症状を感じます。重度になれば角膜混濁をきたす場合もあります。ひどい人は角膜に穴が開いて失明する場合があります。
●治療
まつ毛を抜き続けてもいいのですが、痛み・充血を繰り返す場合、手術が必要です。糸かけ術(埋没法)は短時間ででき、多くの方に効果があるとか。眼瞼内反症の程度が強い方では、皮膚の少量の切除と緩んだ腱膜に対し外側の靭帯を外し、引き上げる手術法もあります。
手術は短時間ですむ日帰り手術、2、3日で腫れがひくそうです。専門医に相談しましょう。