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【浅井 博先生インタビュー】ホメオスタシス、ホルミシスから超音波治療器の魅力を解く

ホメオスタシスとホルミシス

近視は不健康なホメオスタシス状態。

「超音波治療器の効能を考える上で、重要なキーワードとなるのがホメオスタシスです」と話されるのは浅井 博先生。早稲田大学名誉教授の理学博士で、2014年秋の叙勲において、瑞宝中綬章を受章されている。
“ホメオスタシス”(Homeostasis、恒常性)という生理学用語は、健康、体に関しての情報の中で意外とよく出てくる。広辞苑で調べると、(ホメオは同一の、スタシスは静止状態の意) 生物体の体内諸器官が、外部環境(気温・湿度など)の変化や主体的条件の変化(姿勢・運動など)に応じて、統一的・合目的に体内環境(体温・血流量・血液成分など)を、ある一定範囲に保っている状態、および機能。哺乳類では、自律神経と内分泌腺が主体となって行われる。その後、精神内部のバランスについてもいうようになった。
とある。簡単にいうと一定の状態を保つ“恒常性”のこと。一定の状態とは環境などの外的要因からの影響でも常に体を維持しようとする働き。
「例えば、人間の体温は、約37℃に保たれています。寒くなったら代謝を活発にして身体を温かくし、暑くなったときは汗を出して体温を下げる、これが“恒常性”です」と浅井先生。さらに詳しくいうと、体内の状態がいつも比較的狭い範囲内で変動しているといった動的な平衡状態のこと。外界が絶えず変化していても体内の状態は比較的安定した状態に保たれている。極端な表現をすると、病気のほとんどがホメオスタシスの失調の結果である。つまり健康時のホメオスタシス状態が維持できなくなったために病気になってしまう。
人間の体は一定の生体リズムに沿って、一定の収縮(活動)と弛緩(休息)を繰り返しているが、社会環境の変化、不規則な生活習慣やストレス状態が続くと生体のリズムの誤差が大きくなり、ホメオスタシスの修正ができず不調を感じたりして、健康維持が難しくなるのだ。

「視力で考えた場合、近視は不健康的なある種のホメオスタシス状態です。パソコンやスマホなどで目の酷使すると、血流が悪くなって酸素供給がうまくいかず、目の細胞が不活発になって毛様体筋が固まってしまう。この結果、ホメオスタシスの失調が起こってピント調節がうまく働かず、この状態が継続することで不健康なホメオスタシス状態になっている。これを解消するためには刺激を与え、健康なホメオスタシスの状態に戻せば良い」

有益な効果をもたらす超音波治療器は、ホルミシスの好例

“ホメオスタシス”に対比する言葉に“ホルミシス(Hormesis)”がある。ホルミシスとは、高濃度または大量に用いられた場合は有害となるある物質が、低濃度または微量に用いられた場合には、生物活性を刺激したりして有益な効果をもたらすという現象をいう。よく知られているのが、低放射線ホルミシス(低線量放射線)。世間では、放射線というと体に有害なものと認識されている。確かに、放射線は大量に浴びると体に害を与える。が、地球上には常に微量の放射線が放出されてる。この自然放射線の10~100倍の放射線を浴びると、健康にいいということがわかってきている。例えば、岩盤浴や温泉などで使用されている天然ラジウム鉱石は、水に入れるとラドンという放射線を発する。微量のラドンが体内に入ることによって、細胞が刺激されて新陳代謝が向上。免疫力や自然治癒力がアップすることが、実験や臨床応用で証明されている。

「これも放射線ではなく、漬物の『キムチ』には欠かせない唐辛子で考えると分かりやすい。唐辛子の辛味の主成分であるカプサイシンは、毒性があるということがいわれていて、摂りすぎは良くないが、少量であればエネルギー代謝を活発化し、体脂肪の分解を促進する働きがあるのです。
ホメオスタシスの日本語訳である恒常性の『恒』は、星の恒星と同じ字を使い、動かない、変化しないという意味です。一方、ホルミシスは日本語訳が見つけにくいが、しいて訳せば『刺激賦活性(しげきふかつせい)』とすると理解しやすい。 賦活の意味は 、活力を与えること、物質の機能・作用を活発化すること、です。
人間は刺激を与えないとダメです。一人で音もない密閉した部屋に閉じ込められると、3日間で気が狂ってしまう。外部の刺激がないと生きていけない」

超音波治療器に使われている超音波の働きは、このホルミシスの面から見ると分かりやすい。非常に高い周波数の超音波は、破壊作用もあるほど危険だが、微弱な超音波は、人の細胞活性を刺激したりして有益な効果をもたらす。超音波治療器の微弱な超音波をあてることで、血流が良くなり、細胞も活性化するのだ。

超音波治療器は、不健康なホメオスタシスの状態の目に対し、有害となる量に達しない少量の刺激(ホルミシス)をもたらすことで、健康なホメオスタシス状態の目に戻す働きをする。まさに、超音波治療器は“ホメオスタシス”“ホルミシス”を説明する上で好例といえる。

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浅井博先生

浅井 博(あさい・ひろし)先生

早稲田大学名誉教授(物理学科)。1961年名古屋大学大学院理学研究科修了。理学博士。1961~1967年の間の合計3年半,米国カリフォルニア大学医学部心臓血管研究所のポスドクおよび上級生物物理学研究員。主な研究分野は,細胞生物物理学。2014年秋の叙勲で瑞宝中綬章を受章。>

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